東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
取締役会設置会社の場合、代表取締役を
選ぶのは通常取締役会です。
ただ、非公開会社の取締役会設置会社で
定款で代表取締役を株主総会で選ぶ
旨が定めることができるのか、問題が
あります。
そもそも、定款に上記の旨を記載すること
が許されるのでしょうか?
取締役会設置会社の非公開会社で株主総会で代表取締役を選定できるか?
そもそも取締役会を置いた会社の株主総会の権限は?
株主総会は万能機関、
さまざまな決議を行なうことが可能です。
ただし、取締役会設置会社の場合、
業務執行に関しては、取締役会で決める
のが原則になります。
なので、取締役会設置会社の株主総会では
会社法に規定することと定款で定めた事項に
限って決議することしかできなくなります
(会社法295条)。
定款で株主総会で決議できる事項について定める際に制限はあるか?
そこで問題になるのは、
本来取締役会で決議することを何でも
定款で株主総会で決議する旨を定款で
定めることはできるか
ということです。
最高裁平成29年2月21日の判例では、
会社法では、定款で定める事項の内容を
制限する明文の規定はない
としています。
最高裁の判例ではさらに、
会社法は取締役会をもって代表取締役の
職務執行を監督する機関と位置付けている
と解される。
取締役会設置会社である非公開会社に
おいて、取締役会の決議によるほか
株主総会の決議によっても代表取締役を
定めることができることとしても、
代表取締役の選定及び解職に関する
取締役会の権限(法362条2項3号)が
否定されるものではなく、取締役会の
監督権限の実効性を失わせるとはいえない。
と理由づけています。
そこで、
取締役会で代表取締役を選定する
のが原則ですが、株主総会で代表取締役の
を選定すると定款で規定してあっても有効
とするのが今回の判例の内容です。
登記手続きではどうなるのか?
本来取締役会で代表取締役を選定するのを
定款の規定で株主総会で行なうことに
なるので、株主総会議事録の他に、
定款が必要になると思われます。
取締役会設置会社の非公開会社の定款に
株主総会で代表取締役を選定する旨の記載
がなければ、株主総会で代表取締役を選定
することは無効決議になるでしょう。
あと、株主総会で登記すべき事項を決議
しているので、株主リストの添付も必須と
なります。
どんな場合代表取締役を株主総会で選定するか?
私は、株主総会で代表取締役を選定する
ケースとして、家族経営で株主が1名しか
いない会社はこのケースが使えると
思います。
いちいち代表取締役を選定するための
取締役会を開く必要がないので・・・
ただ、代表取締役を選定するたびに
定款を添付するのは面倒ですが・・・
まとめ
今回の判決は実務では既に行われている
方法です。
最高裁判所のお墨付きを得られたので、
今後はコンパクトな会社で代表取締役を
株主総会で選ぶことが増えるかも
しれません。
そのための定款変更決議もされることも
想定されます。
もし、分からなければ当事務所に相談して
ください。
今回は
『取締役会設置会社の非公開会社で
株主総会で代表取締役を選定できるか?』
に関する内容でした。
参考書籍
商業登記ハンドブック〔第3版〕
松井 信憲 商事法務 2015-05-20
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