東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
(質問)
最初はこじんまりとひとり株式会社を設立した。
しかし、事業も順調に進み、規模も拡大、将来は上場もしたい思いが強まりました。
今からできること、将来考えないといけないことは何かあるのか教えていただきたいです。
最初はこじんまりで規模をそこまで大きくする予定がなかった起業家のあなた。
もし、あなたの事業が急成長し会社の規模を大きくしたい場合、どのようにすればいいのでしょうか。
今回はそんなあなたの疑問にお答えします。
ひとり株式会社 会社設立後に規模を大きくしたい場合の注意点は?
資金調達をしたい場合、どうすればいいのか?
もし、あなたの手元金で始めた事業。
どんどん成長していき、規模も大きくなるにつれ、会社運営に充てていくため資金を調達したい
そのとき、どうすればいいのでしょうか?
一番手っ取り早いのは、自己資金を投入して資本金を増やすことでしょう。
つまり、自分の持っている資金を会社につぎ込む方法です。
会社に資金をつぎ込むやり方としては、株式を発行するか、あなたが会社にお金を貸し付ける方法があります。
株式を発行して、あなたが会社に払込みをするのが分かりやすい。
そのとき、1株あたりの金額をきちんと算定する必要があります。
もし1株あたりの金額を安くして株式を発行すると、税務上贈与にあたる可能性も出るので、注意が必要です。
一方、会社に対して貸付金で行う場合、会社とあなたとの間で金銭消費貸借契約契約を締結する必要があります。
このあたりをうやむやにすると、面倒なことになります。
また、相続が開始すると、貸付金は相続の対象となり、相続財産に組み込まれます。
そのときに会社には返済資金がなく、ただ会社に対する貸付金だけが残るということになり、相続税の支払いのとき面倒なことになります。
または、金融機関から融資を受ける方法。
こちらは、金融機関との調整が必要なので、すぐに貸してくれるということはありません。
さらにはあなたの将来性を見越して、
ベンチャーキャピタルが資本注入してくれることも予想されます。
いずれにしても、資本金を注入し、株式を発行するような場合、資本政策をしっかりしておかないと、後々トラブルを引き起こします。
持株比率をどうするのかも含め、資金調達の際には十分検討するようにしましょう。
会社の規模拡大 会社内部の統制を構築する
おそらく、会社設立当初、ひとり株式会社で設立した場合、取締役と株主総会のみの機関設計だったと思われます。
しかし、規模が大きくなれば、機関構成も変えていく必要があります。
例えば、取締役だけの会社を取締役会設置会社にしたり。監査役設置会社にし、内部の体制をしっかりする必要があります。
取締役候補・監査役候補になりそうな人材を探すことも大事です。
監査役も、会計限定監査役にせず、最初から業務監査権限も含めた監査役にすべきです。
あと、会社設立当初から、株主総会を毎年開催し、議事録を作成し保管する。
議事録を作成し保管することは、会社法では義務になっています。
また、定款も規模が大きくなったら、会社の状況に応じて随時変更するなど、会社内外からこの会社しっかりしていると信用してもらうことが大事です。
議事録や定款の整備は、外部で資金調達する際の資料にもなるので、しっかり整備することを忘れないでください。
まとめ
はじめはこじんまりやろうと思っていたら思わぬところで会社の規模を拡大したくなった。
そのときに焦って取り組むと思わぬ漏れが生じてしまいます。
会社設立段階で、何をしたらいいのかを再度見直すことも大事です。
今回は
『ひとり株式会社 会社設立後に規模を大きくしたい場合の注意点は?』
に関する内容でした。
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会社の規模を拡大していくのであれば、監査役は必須です。こちらもぜひご覧ください。
会社設立 早い段階から上場を目指したいのであれば監査役は必須?
参考書籍
税理士・公認会計士のための 起業コンサルティング実務入門
廣野清志 中央経済社 2016-03-10
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起業のファイナンス 増補改訂版 ベンチャーにとって一番大切なこと
磯崎 哲也 日本実業出版社 2015-01-16
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