「会社設立アドバイザー」
東京都江戸川区葛西駅前
司法書士・行政書士の桐ヶ谷淳一です。
監査役について「ある登記」をお忘れなく!
前回は、監査役の就任登記の際、住民票等の本人確認証明書、就任承諾書等の記載のことについて書きました。
詳しくは下記ブログを御覧ください。
監査役を置いている中小企業の経営者の方 監査役変更登記申請時注意ですよ!【会社設立アドバイザーの業務日誌】 | 司法書士行政書士きりがやブログ(きりログ)
今回は、もうひとつ大事なことについて書きます。
それは、今年5月1日に改正された会社法、会計限定監査役に関する改正です。
なぜ会計限定監査役である旨が登記事項になったのか?
平成27年5月1日より
「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある」旨の登記
について、新たに登記事項に加わりました。
今までの、登記事項証明書には、監査役がいれば、「監査役設置会社」の旨が登記されていました。
監査役については業務監査権限と会計監査権限があります。
ただ、中小企業については会計監査権限しかない監査役もいて、登記事項証明書を見ただけでは、判断つきませんでした。
そこで、今回の改正から、その区別をつけるために、会計監査権限のみの定款の定めがある会社についてはその旨を登記事項に加えました。
監査役の会計監査権限の旨の定款の定めの登記をお忘れなく
この会社に該当するのは
- 平成18年5月1日以前から存在している株式会社
- 平成18年5月1日当時、資本金の額が1億円以下の小会社
- 今日まで、定款変更をしていない会社
平成18年5月1日以前から存在している株式会社で、資本金が1億円以下の会社は、監査役の権限が会計監査のみということが商法特例法で決められていました。
そして、会社法施行に伴い、上記の会社については、定款で会計限定監査役である旨が定款で定めているとみなされています。
なので、監査役をおいている会社で、定款を何も変えていなければ、その監査役は会計監査限定監査役となります。
この会社が会計限定監査役である旨の登記をしなければならない対象となるのです。
いつまでに会計限定監査役である旨の登記をしなければならないのか?
結論から書くと、平成27年5月1日以降、最初に監査役に関して退任・就任等の変更登記が生じた時に合わせて、会計限定監査役である旨の登記をすればいいです。
これは、わざわざ監査役の登記が発生していないのに登記されるのは手間がかかるので、次に監査役に関する登記があるまで猶予しますという趣旨からです。
なので、別に監査役が変わっていなくても、会計限定監査役である旨の登記をすることは可能です。
もし、監査役の変更登記をした際に、会計限定監査役である旨の登記を忘れてしまったら?
あくまでも平成27年5月1日以降初めて監査役の変更登記があるまで登記が猶予されているので、もし登記を忘れてしまったら、登記懈怠の問題がでてきます。
過料(罰金みたいなもの)が発生しますので十分注意してください。
まとめ
正直、役員変更が発生した時は、登記漏れや間違った登記をしてしまう可能性があります。
ここはコストが掛かっても司法書士に依頼して、間違った登記を防ぐことも必要だと思います。
特に監査役をおいている会社は十分注意しましょう。
今回もご覧頂きありがとうございました。
感想を聞かせていただけると嬉しいです。
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