定款 会社設立時に雛形定款を用いることのリスクとは?議決権数編

東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。


はじめに


会社設立のときに定款作成は欠かせません。


よく法務省の会社定款やインターネット上
の定款の雛形をそのまま用いて会社設立
される経営者が多いです。


何か問題になることがあるのか、
まとめてみました。


特に議決権の部分については、会社の
運営面でしっかり考える必要があると
思っています。


上場企業の定款記載をそのまま
中小企業に当てはめるにはリスクが
あるのです。

定款 会社設立時に雛形定款を用いることのリスクとは?


議決権についての留意点とは?


まず、株主総会の議決権についてですが

  • 普通決議
  • 特別決議
  • 特殊決議
  • 特別特殊決議

の4つに分かれています。


定款記載で特に検討を要するのは、
普通決議、特別決議の議決権について
です。


普通決議についての定款の記載の検討


普通決議は、株主総会で総株主の議決権の
過半数が出席し、出席した議決権の過半数
の賛成を持って行う決議です。


定款で、定足数を排除することが可能
ですが、取締役や監査役を選任する決議、
取締役を解任する決議の場合、定足数は
3分の1までしか軽減できません。


そこで上場企業では、定足数の排除や
役員変更の際の定足数の軽減を定款に
盛り込んでいる場合が多いです。


普通決議の定款規定について
定足数の排除や軽減をそのまま
中小企業の定款に当てはめていいのか
は検討する必要があります。


株主が1名であれば何も問題ありませんが、
株主が複数名出て、会社内部で対立が
あったときが問題
になるのです。


役員変更の定足数が3分の1まで軽減
されている場合に、対立株主が3分の1
以上所有していたら、定足数要件を
満たしてしまいます。


招集通知をきちんとする必要がありますが、
無用な争いに巻き込まれてしまいます。


特別決議の場合はさらに検討を!


特別決議については、総株主の議決権の
過半数の出席し、出席した株主の有する
議決権の3分の2以上の賛成が必要な決議
です。


定足数を3分の1まで定款で軽減できる
ので、上場企業では定款に盛り込んでいる
場合がほとんどです。


普通決議同様、中小企業で定足数の軽減を
定款に定めることはどうなのか、検討する
必要があります。


株主総会で特別決議を要する事項は、
会社にとって重要な内容が多く、
より慎重に決めないといけないのに、
定足数軽減があることで、
少数株主だけで招集して決議を行えて
しまうリスクがあるのです。

まとめ


議決権の定款の定めについては、
会社の規模や株主構成等で慎重に決めない
と後々トラブルになります。


定款の雛形をそのまま用いるリスクを
再度検討して見る必要があるでしょう。


今回は
『定款 会社設立時に雛形定款を用いる
ことのリスクとは?議決権数編』

に関する内容でした。


参考書籍

商業登記実務から見た 中小企業の株主総会・取締役会

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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