「株主リスト」なぜ必要になったのですか?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
ある会社の担当者から質問を受けました。
「捺印書類に「証明書」があった。株主の氏名と株式数と議決権数、議決権割合が記載されていた。
何のために添付するのでしょうか?以前こんなのつけていなかったのに」
「株主リスト」のことを指しますが、経営者や担当者はいきなりこの書面が添付書面になったことにビックリしたと思います。
今回は、「株主リスト」について、なぜ添付する必要が出てきたか、検討していきましょう。
「株主リスト」なぜ添付する必要になったのか?
「株主リスト」を添付する必要がある場合は?
株主総会の決議につき、登記すべき事項が発生する場合、登記申請の際に「株主リスト」の添付が必要です。
また、株主全員の同意を要する事項につき登記すべき事項が出てきた場合も、同様に「株主リスト」が必要です。
2つの大きな違いは、株主全員の同意を要する場合、リストには株主全員について必要事項を記載する必要があります。
一方株主総会決議について登記すべき事項を決議した場合の株主リストには、議決権を有する株主全員の氏名を記載する必要はありません。
中小零細企業では、株主総会について登記すべき事項が生じた場合については、オーナーがほぼ3分の2以上有しているので、その者の必要事項を記載すればいいことに
なります。
なぜ「株主リスト」を添付する必要が出てきたのか?
株主リストが添付する必要となったいちばん大きな理由は消費者保護や犯罪防止のことの観点です。
例えば役員変更登記で、株主総会議事録を偽造して、役員になりすます、本人の承諾がない役員就任登記を行い会社の財産を勝手に処分する犯罪行為などです。
国際的な流れから法人の透明性の確保、法人の悪用防止の観点も「株主リスト」の添付を必要とする要因と言われています。
法務局としては、「株主リスト」を添付させることで、本当に株主総会が開かれ議決権を行使したことを証することで真実性の担保を図りたいのでしょう。
その改正と併せて、商業登記の添付書面に関する閲覧請求についても改正が行われています。
まとめ
株主リストの添付の改正は平成28年10月1日に始まっています。
このブログでも書きましたが、誰が株主リストの記名押印者か問題になるケースもあります。
あと、平成28年10月1日以前に株主総会が開かれていたとしても、登記申請が10月1日以降であれば、「株主リスト」が必要になります。
最近役員変更するとかという会社は要注意です!
参考書籍
株主リストの添付と株主名簿整備の実務
永渕 圭一 日本法令 2016-10-04
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