ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
4回にわたり、取締役会非設置会社の代表取締役の選び方について書きました。
今回は定款にはどうのように記載すべきかを書きます。
目次
代表取締役、定款の記載はどうすればいいのか?
復習 代表取締役の選任方法は?
代表取締役の選び方は下記のとおりです。
代表取締役の選び方
- 定款に直接代表取締役の氏名を記載する方法
- 株主総会の決議によって選任する方法
- 定款に、取締役の互選により代表取締役を定める旨を記載したうえで、取締役の互選によって選任する方法
の3つがあります。
前回も書きましたが、定款に直接代表取締役の氏名を記載する方法は私はやりません。
なので、残りの2つの方法で代表取締役を選ぶのが多いです。
定款の記載について注意すべきことは?
取締役が1名のときは、その者が会社を代表し、2名以上になった時に代表取締役を選ぶ方法を採用したほうがいいです。
なぜなら、取締役が2名いて、うち1名が代表取締役の場合、代表取締役が亡くなり、残った取締役の代表権が復活するのかが問題になるからです。
上記のように定款に記載してあれば、残存する取締役の代表権が復活し、その者から変更登記をすることができます。
その場合の代表取締役の変更登記は「代表権付与」という登記原因を用います。
当然、後任者を探して、定款に定めた代表取締役の選任方法で選んで登記申請をすることは可能です。
定款の規定によるところが大きいので注意が必要です。
私の場合、定款の記載はどうしているか?
私の場合は以下のように定款に定めることが多いです。
(代表取締役及び社長)
第◯条 取締役が2名以上ある場合は、そのうち1名を代表取締役とし、取締役の互選(または株主総会の決議)によって定める。
2 当会社を代表する取締役は社長とし、当会社の業務を執行する。
3 取締役が1名の場合には、当該取締役を代表取締役社長と定める。
なお、ケースバイケースで異なるので、経営者とよく相談したうえで定款の中身を決めてください。
まとめ
代表取締役についての定款の記載方法については、慎重にやらないと定款違反につながるので注意してください。
あとは、取締役が1名の場合と複数名いる場合とに分けて、その際の会社の代表者をどうするのかを定款に盛り込んだほうがいいでしょう。
今回の内容が皆様の参考になれば幸いです。
参考書籍
商業登記ハンドブック〔第3版〕
松井 信憲 商事法務 2015-05-20
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中小企業のための戦略的定款―作成理論と実務
司法書士グループLLP経営360° 民事法研究会 2008-06
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