事例で学ぶ相続 クレヨンしんちゃんで学ぶ相続 ―住宅ローンが残っている家はどうなる?

こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirijunshoshi)です。

はじめに

相続は、人が亡くなったあとに残る「お金・家・借金」などをだれが受け取るか決めるしくみです。

でも法律の言葉はむずかしく感じやすく、中学生にはピンと来ないことも多いでしょう。

そこで今回は、アニメ『クレヨンしんちゃん』の野原一家を例に、お父さんのひろしが住宅ローンを抱えたまま亡くなったらどうなるかをやさしく解説します。

1. 野原一家と住宅ローンの設定

野原家には、ひろし・みさえ・しんのすけ・ひまわり・シロの五人と一匹がいます。

ひろしはマイホーム購入のために35年ローンを組み、まだ半分以上を返済中です。

ここでは 団体信用生命保険(だんしん)には入っていない ケースで話を進めます。

団体信用生命保険(だんしん)とは、ローンを組んだ人が亡くなると保険金で残債が完済される仕組みです。

2. 相続人はだれ?

法律(民法)では、配偶者は常に相続人となり、第1順位で子、第2順位で直系尊属(親や祖父母)、第3順位で兄弟姉妹となります。

クレヨンしんちゃんでは様々なキャラクターがでていますが、野原一家の場合、ひろしが亡くなると、配偶者(みさえ)と子ども(しんのすけ・ひまわり)が第一順位の相続人です。

配偶者はいつでも相続人になり、子どもがいれば一緒に財産を分け合います。

兄と妹の取り分は法律上まったく同じで、「長男が多い」といった昔の慣習はありません。

3. 家とローンはセットで引き継ぐ

ひろし名義の家はプラスの財産ですが、返済中ローンはマイナスの財産(借金)です。

相続ではプラスもマイナスも丸ごとまとめて後を継ぐルールになっています。

つまり家を相続するなら、残っているローンも一緒に背負うことになるわけです。

4. 3つの選択肢

① 返済を続ける

みさえが収入や貯金で月々の返済を継続し、将来しんのすけたちが協力するパターンです。

家に住み続けられますが、生活費を圧迫するリスクに注意が必要です。

② 家を売ってローンを返す

家を売ったお金でローンを完済し、残れば手元に資金が戻ります。

ただし売却額よりローンが多い場合は不足分を別に払わなければなりません。

③ 相続放棄または限定承認

借金が大きくて返せないと判断したら、3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをします。

放棄すると、はじめから相続人でなかったことになり、ローン返済義務もなくなります。

いっぽう「限定承認」は、プラスの財産の範囲だけで借金を払う方法です。

限定承認の場合は相続人全員が行う必要があります。

どちらも期限があり書類も多いので、専門家への相談が安心です。

5. 団体信用生命保険がある場合

もしひろしがだんしんに入っていれば、亡くなった時点でローンは保険金で完済されます。

この場合、みさえと子どもたちは借金なしで家だけを相続できるので大きな負担を避けられます。

まずはローン契約書を見直し、保険の有無と内容を家族で確認しましょう。

6. シロは相続人?

シロは大切な家族ですが、法律上は「物」として扱われるため相続人にはなりません。

ただ、犬も立派な家族。

だれが世話をするか、えさ代や病院代をどうするか、遺言や話し合いで決めておくと安心です。

7. 手続きに必要なこと

  1. ひろしの出生から死亡まで連続した戸籍を集め、相続人を確定します。

  2. 家やローンの残高、預貯金、保険など財産目録をつくり全体像をつかみます。

  3. 放棄や限定承認を選ぶときは3か月以内に家庭裁判所へ申立てが必要です。

  4. 遺言があれば内容を確認し、遺留分(子どもの最低保証分)を侵害していないかチェックします。

8.遺産分割協議のときの留意点

万が一ひろしが遺言書をのこさず亡くなった場合、相続人全員で遺産の分け方を決める必要があります。

ただ、しんのすけやひまわりはまだ未成年。

みさえが子に代わって手続きをすることはできません。

その場合は、しんのすけ、ひまわりについては、相続人でない方が2人に代わって遺産分割協議をすることになります。

これが「特別代理人」と呼ばれる制度で家庭裁判所に選任請求をします。

まとめ

  • 相続では家とローンがセットになることをまず理解しましょう。

  • 団体信用生命保険があればローンは消えます。なければ負担をどうするか家族会議が必須です。

  • 借金が大きいときの対策として相続放棄や限定承認が選べますが、期限が短いので注意してください。

  • 不安があれば早めに司法書士・行政書士に相談し、適切な手順で手続きを進めることが家族を守る近道です。

江戸川区船堀の「司法書士・行政書士きりがや事務所」では、相続人調査からローン対策までトータルでサポートしています。お気軽にご相談ください!

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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