こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続・会社設立に」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirijunshoshi)です。
目次
はじめに:ひとり株式会社設立後次なる不安に向き合うときがきた
前回のブログでは、ひとり株式会社の成功者が直面する「事業承継」という課題についてお話ししました。
「自分の会社を誰に引き継ぐのか」という漠然とした不安は、多くの経営者に共通するものです。
そして、その解決策として後継者の選定や事業承継計画の重要性に触れました。
しかし、それだけでは十分ではありません。
事業承継や相続の準備を始める際に、まず取り組むべきなのは「資産整理」です。
なぜなら、資産を正しく整理しなければ、どれほど後継者や承継計画が優れていても、思わぬトラブルに発展する可能性があるからです。
今回は、ひとり株式会社を営む経営者を例に資産整理を通じて相続対策を進めた実例を交えながら、具体的なアクションプランをご紹介します。
これを読めば、あなたも会社の未来を守るための第一歩を踏み出せるはずです。
なお、このブログに登場する人物は架空で、より分かりやすくイメージをしていただくようにストーリー仕立てになっていることにご留意ください。
資産整理を始める理由と具体的な方法
1. 資産整理に向き合うきっかけ
フリーランスで法人化したAさんは、ひとり株式会社を立ち上げ、事業を順調に成長させていました。
しかし、ある日、親しい友人からこんな話を聞きました。
「父が急に亡くなって、会社の株式を兄弟で分けなきゃいけなくなったの。でも、株式の評価額が高すぎて、相続税が払えなくて…会社を手放さざるを得なかったの。」
この話に衝撃を受けたAさんは、すぐに行動を起こしました。
「私に万が一のことがあったら、会社はどうなるのだろう?」と不安を抱いたのです。
そして、相続対策の第一歩として、資産整理に取り組むことを決意しました。
2. 資産整理の具体的なステップ
資産整理は複雑に見えますが、次の3つのステップで進めることができます。
(1) 自社株の評価を行う
ひとり株式会社では、経営者が株式のほとんどを所有していることが一般的です。
そのため、株式評価額が会社の価値そのものを反映します。Aさんは、まず税理士に依頼して自社株の評価を行いました。
司法書士の視点:
株式評価は税理士と連携し、「純資産方式」や「類似業種比準方式」などの評価方法を用いて適切に算出することが大切です。
この評価が曖昧だと、後の相続税計算でトラブルになる可能性があります。
(2) 資産と負債の棚卸しを行う
次に、会社名義の資産や負債をすべてリストアップしました。
Aさんの場合、以下のような項目を整理しました:
- 事業用の不動産
- 設備や車両
- 預貯金、売掛金
- 借入金や未払い金
司法書士の視点:
不動産や車両の名義が正しいかを確認することが重要です。
不備がある場合、相続時に名義変更がスムーズに行えず、時間や費用が余計にかかります。
(3) 遺言書の作成
Aさんは、自社株と会社の主要資産を特定の後継者に引き継ぐことを明確にするため、遺言書を作成しました。
司法書士のアドバイス:
公正証書遺言として作成することで、法的効力を高めることができます。
また、家族信託(民事信託)を併用することで、資産を柔軟に管理しつつ、会社の継続性を確保することが可能です。
場合によっては信頼する人との間で任意後見契約を締結するのもありでしょう。
3. 相続税と贈与税の違いを知る
資産整理を進める上で、相続税と贈与税の基本的な違いを理解しておくことが重要です。
相続税の特徴
- 相続が発生した時点で課される税金。
- 控除額(基礎控除)があるため、一定額以下の資産は非課税。
- 株式評価額によって税額が変動する。
贈与税の特徴
- 生前に資産を贈与する場合に課される税金。
- 年間110万円以下の贈与は非課税。
- 計画的に贈与を進めることで、相続税の負担を軽減できる。
司法書士のアドバイス:
事業承継税制を活用することで、一定の条件下で相続税や贈与税の納税猶予を受けることが可能です。
この制度を利用することで、経営者の負担を大きく減らすことができます。
これらについても自分で判断せずに税理士と相談して対応することをおすすめします。
4. 資産整理を専門家に相談するメリット
資産整理や相続対策を成功させるには、司法書士や税理士などの専門家のサポートが欠かせません。
司法書士の役割
- 不動産や株式の名義変更手続きのサポート。
- 遺言書や家族信託の作成。
税理士の役割
- 資産評価や相続税の計算を担当。
- 節税プランの提案。
メリット
- 時間と労力を節約できる。
- 法的・税務的なトラブルを未然に防げる。
まとめ:資産整理が未来を守るカギ
ひとり株式会社を守るための相続対策は、「資産整理」から始まります。
Aさんのように今から準備を始めることで、将来のトラブルを防ぎ、会社を次世代に繋ぐ土台を作ることができます。
会社の未来を守るための第一歩を、あなたも踏み出してみませんか?
専門家と一緒に進めれば、安心して事業を続けられる環境を整えることができます。
司法書士として、あなたの会社が未来に渡って続いていくよう、全力でお手伝いします。
江戸川区船堀、宇喜田、葛西、東小松川地域にお住まいの方で、相続・会社経営(商業登記を軸とした企業法務)に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所までご相談ください。
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今回は
『司法書士が徹底解説!ひとり株式会社の設立で押さえるべきポイント』
に関する内容でした。
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前回のブログもひとり会社設立を設立する方にとって必見の内容です。
事業承継のことについて触れていますので、ぜひご覧ください。
参考書籍
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