こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続・会社設立に」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに:自分らしい働き方を実現するために
「自分の会社を持つ」という夢、あなたも一度は考えたことがありませんか?
今回から「ひとり株式会社の経営から事業承継までのストーリー」をテーマに、30~40代のフリーランス女性をモデルに書いていきます。
Aさんも何かしら起業したい一人でした。
自身のスキルを活かして自由に働く中で、次第に法人化の必要性を感じるようになります。
フリーランスとして活動する中で、Aさんは次のような課題に直面しました:
- クライアントから「法人契約を優先する」と言われた。
- 売上が増えるにつれ、税金や経費処理が煩雑化した。
- ビジネスを次のステージに進めたいが、方法が分からない。
そんな中、Aさんが選んだのが「ひとり株式会社」を設立する道でした。
今回のブログでは、司法書士の目線からAさんの法人化をサポートする架空のイメージで、事例を交えながら、会社設立のプロセスとそのメリット・注意点を詳しくお伝えします。
なお、Aさんは架空の人物で、より分かりやすくイメージをしていただくようにストーリー仕立てになっていることにご留意ください。
ひとり株式会社の設立から運営まで
1. 法人化を決断するまでのストーリー
Aさんは「自分らしく自由に働く」ことを大切にしていました。
しかし、ある時クライアントから「法人化していればもっと契約がスムーズになるのに」と指摘され、真剣に法人化を考え始めました。
最初は不安が多かったAさん。司法書士に相談して、具体的な手続きやメリットを説明することで「これならできるかも」と背中を押されました。
その結果、Aさんは自分のペースで働ける「ひとり株式会社」を選び、設立を決意しました。
司法書士として、このような相談を受けることが多いです。
場合によってはまだ個人事業主のほうがいいという方もいますが、ある程度の売上があり、法人化の要望があれば、「ひとり株式会社」を選択することを検討しましょう。
2. 法人化のプロセスと司法書士の役割
ひとり株式会社の設立には、以下のプロセスがあります。
司法書士の視点から、普段サポートする方法も交えて解説します。
(1) 会社名の決定
Aさんは、自分のブランドイメージを反映した会社名を考えました。
ここで大切なのは「他の会社と類似していないか」を事前に確認することです。
司法書士の役割:法務局や商標登録のデータベースを使い、同一または類似する名称がないか調査を行いました。
会社設立時に商号と同じ場所に本店がある場合は、登記できませんが、同じ商号については不正競争防止法の観点から確認することが大事です。
(2) 定款の作成
会社の運営ルールを記載した「定款」の作成は設立の基盤です。
Aさんの場合、現在の事業だけでなく、将来的な拡張も見据えた内容にしました。
例えば「デザイン業務」に加えて「教育・コンサルティング業務」も含めました。
司法書士の役割:電子定款を作成し、印紙代4万円を節約。書類の正確性を確保しました。
なお、最近は公証役場でモデル定款もでていて、会社設立の負担を少なくする動きもあります。
とはいっても、経営者も定款の中身を知らないと会社運営はできないことを知っておきましょう。
(3) 資本金の設定と払込証明書の作成
Aさんは資本金を50万円に設定しました。
資本金額は取引先の信頼に影響を与えるため、必要に応じてアドバイスを行いました。
司法書士のアドバイス:資本金を設定する際、将来的な事業拡大や税務面を考慮することが重要です。
なお、資本金の額によって、公証役場での定款認証手数料が異なります。
令和6年12月1日から、資本金が100万円未満で一定の要件を満たしている場合は定款認証手数料が1万5,000円となります。
(4) 登記申請
必要書類を法務局に提出し、会社設立が完了しました。これが法人化の正式なスタート地点です。
司法書士の役割:
Aさんに代わり、全ての書類を準備し、登記申請を代理で行いました。
最近は自分で手続をする方が多いですが、時間がない場合や、手続きに不安がある方は司法書士に依頼することをおすすめします。
3. 設立後に注意すべきポイント
ひとり株式会社を設立した後も、運営をスムーズに進めるために押さえるべきポイントがあります。
(1) 役員報酬の設定
役員報酬は毎年固定で設定され、年度途中での変更は原則できません。
Aさんは初年度、無理のない範囲で月15万円を設定しました。
司法書士のアドバイス:
税理士と相談しながら適切な金額を決めることで、税務面でのトラブルを防げます。
あまり高い額に設定しすぎても経費にできないこともあるので、役員報酬の設定に十分注意しましょう。
(2) 経費計上のルール
法人化により、事業に関係する出費を経費として計上できる幅が広がります。
Aさんの場合、以下を経費として活用しました:
- 自宅兼事務所の家賃の一部
- 業務用のインターネット通信費
司法書士の視点:
経費計上のルールを明確にし、税務調査に備えるため、領収書の管理が不可欠です。
あと、会社設立時のために準備したものも費用に計上できます。
ここは税理士を活用すると、節税対策にもなります。
(3) 法人住民税と運転資金の管理
赤字でも法人住民税(最低7万円)がかかるため、資金計画が重要です。
Aさんは設立時に資金計画を立て、予期せぬ出費にも対応できる体制を整えました。
4. 専門家との連携が成功のカギ
ひとり株式会社を成功させるには、適切な専門家との連携が重要です。
Aさんが活用した専門家の例を挙げます。
- 司法書士:会社設立や定款作成、登記申請を全面サポート。
- 税理士:法人税の申告や、経費計上のアドバイスを担当。
- 行政書士:特定の許認可が必要な場合、申請手続きの代行を依頼可能。
司法書士の視点:
Aさんは将来的な事業承継や相続についても相談し、設立時点から長期的な計画を立てることができました。
まとめ:夢を叶えるための最初の一歩
ひとり株式会社は、自分らしい働き方を実現し、ビジネスを次のステージに引き上げるための選択肢です。
ただし、設立のプロセスには専門知識が必要であり、司法書士をはじめとした専門家のサポートが欠かせません。
Aさんの事例を通じて、法人化がビジネスの信頼性を高め、運営を効率化する道であることを感じてください。
これから起業を考えるあなたも、ぜひ専門家に相談しながら、一歩ずつ進めてください。司法書士として、あなたの夢を支えるお手伝いを全力でさせていただきます。
江戸川区船堀、宇喜田、葛西、東小松川地域にお住まいの方で、相続・会社経営(商業登記を軸とした企業法務)に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所までご相談ください。
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今回は
『司法書士が徹底解説!ひとり株式会社の設立で押さえるべきポイント』
に関する内容でした。
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