株式会社の設立 公証人手数料令の一部を改正する可能性 江戸川区の司法書士が分かりやすく解説

こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに 

株式会社設立の際に、公証役場で定款認証が必要となります。

定款認証のときに必要な手数料を支払う必要があります。

今回、スタートアップ促進のためか、公証役場での定款認証の手数料が変わる可能性がでてきました。

令和6年9月3日の「「公証人手数料令の一部を改正する政令案」に関する意見募集」の情報をもとに書きます。

今後変更する可能性があることをご承知おきください。

現状の定款認証の手数料は?

株式会社の設立手続においては、定款(株式会社の目的、組織、活動に関する根本となる基本的な規則)を作成し、公証人の認証を受ける必要があります。

この定款の認証手数料は、現在、成立後の株式会社の資本金となるべき額(以下「資本金」という。)に応じて資本金100万円未満のものは3万円、資本金100万円以上300万円未満のものは4万円、それ以外のものは5万円となっています。

以前は資本金の額に関係なく5万円でしたので、資本金の額次第では、株式会社の設立はしやすくなったと言えます。

今回の手数料改正の背景は?

今回の手数料改正の背景は、国の政策が大きく影響しています。

規制改革実施計画(令和6年6月21日閣議決定)において、「法務省は、スタートアップの法人設立時における財政的基盤の乏しい起業家の負担を軽減し、スタートアップの創出を加速する観点から、公証人の定款認証手数料について、事業実態・事業規模等一定の条件を満たす場合に、現行3万円の最低区分を半額程度にまで引き下げることを目指して検討する。」と
されていました。

国としても起業のスタートアップを促進することで経済を活性化させたい意図があるよう感じます。

改正案の内容は?

定款認証手数料について、以下の要件を満たした場合に、現行の3万円から1万5,000円になるとのことです。

その要件は、

  1. 発起人が自然人で、かつ、3人以内
  2. 発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける
  3. 取締役会を設置していない定款の場合

となります。

今後の実務の影響について

スモールビジネスを展開する場合は、株式会社か合同会社を選択することになります。

合同会社の場合、定款認証は不要で登録免許税が6万円(株式会社の場合は15万円)で容易に設立しやすいです。

ただ、合同会社死亡時の役員の変更や、世間からの認知度がまだ低いのが実情で、合同会社名義での金融機関の口座開設もできないこともあるようです。

スモールビジネスで副業で法人化する方は、今後は株式会社を選択する方が増えるかもしれません。

あわせて、容易に会社設立ができてしまうので、法人化の価値が下がってしまうかもしれません。

ただ、税金対策として法人化することには意味があるので、法人化の価値は変わらないと思われます。

また、犯罪の温床になりやすい部分は懸念されます。

ペーパーカンパニーの増加は避けられそうもなく、ここはどう釣り合いを取るのかは今後注目していくところでしょう。

まとめ

株式会社の定款認証の手数料が下がるということは定款認証の意味合いが薄れていくようにも感じます。

登録免許税を少し安くすれば、釣り合いも取れていいのでしょうが…

わからないことがあれば、専門家に相談し、適切な手続きを進めることをお勧めします。

この内容が少しでもお役に立てば幸いです。

江戸川区船堀、宇喜田、葛西、東小松川地域にお住まいの方で、相続・会社経営(商業登記を軸とした企業法務)に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

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今回は
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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。