東京都江戸川区「6回目でやっと司法書士試験に合格した「相続・商業登記を軸とした中小企業支援業務」の専門家 「登記業務を通じてお客様に寄り添う」 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
会社設立業務も時代とともに変化してきています。
最近は起業促進を図りたい国の要請で会社設立を簡素化しようとする動きがあります。
今回はそのうちの取組のひとつ「公証役場の定款認証」のことを触れます。
「定款作成ツール」の公表
株式会社設立のときは、定款を作成して、公証役場にいって、定款認証の手続きを得る必要があります。
実務では、事前に利用する公証役場で定款の内容を確認して、発起人が公証役場にいって定款認証することになります。
定款認証するのにそもそも定款を作成しなければならず、発起人の負担にもなっていました。
そこで、日本公証人連合会において、起業促進の観点から、小規模でシンプルな形態の株式会社をデジタルを用いてスピーディーに設立したいという起業者のニーズに答えるため、利便性に配慮した「定款作成支援ツール」を法務省も関与の上、公表されました。
このツールを見てみましたが、必要な事項を入れれば、あっという間に必要な書類等を作成できるので、法人の枠だけほしい人にはいいかもしれません。
定款作成支援ツールを利用するとどのようなメリットがあるのか
定款の認証までは、定款を作成し、公証人の認証を受けるまで、日数を要していました。
今回、雛形ではありますが、法務省と日本公証人連合会のお墨付きの定款を利用すれば、定款をわざわざ発起人で作る必要はなくなります。
さらに、「定款作成支援ツール」で作成した定款を利用した場合、48時間以内に定款認証手続きを完了させることができるので、メリットは大きいです。
定款認証作成支援ツールの特別措置を利用するための要件は?(2024年1月17日現在)
「特別措置」を利用するための要件があるので、それに当てはまらないと利用することができません。
1、東京都または福岡県に本店を置く株式会社の設立の場合であって、東京都または福岡県に所在する公証役場において定款認証の嘱託をするものであること
2、定款作成支援ツールを用いて作成された定款案について認証を受けようとする場合であること
3、発起人が3人以下であって、マイナンバーカードを保有する自然人であること
4、発起人が定款案に公的個人認証電子証明書で電子署名をしていること。
司法書士等が定款作成代理人として定款を作成した場合は、定款案には代理人の電子署名を行い、委任状に発起人が公的個人認証電子証明書で電子署名をしていること。
5、定款認証の嘱託に先立ち、公証人に対し認証に必要な資料に加え、特別処理によることを希望する旨の申請書が提供されること
そもそも東京と福岡に本店を置く会社でなければ利用できないことと、発起人3名以下であること、マイナンバーカードがないと利用できないことをおさえておいてください。
司法書士に依頼するときにはどうすればいいか?
司法書士の立場でお答えすると、発起人の方で、簡易に作りたいか、定款を作り込みたいかをまずは確認してください。
将来大きくしたい場合は、「定款作成支援ツール」を利用せず、あらかじめ将来のことを見越して定款を作成したほうがいいです。
ただ単に法人の枠にこだわりたいだけであれば、このツールを利用する価値もありでしょう。
なお、合同会社設立の場合は、公証人の定款認証が不要なため、特段このような作成支援ツールは用意されていません。
まとめ
コンパクトな株式会社設立に関しては「定款作成支援ツール」をはじめ、今後はより簡単に設立も可能になるかと思われます。
そうなると、発起人のマイナンバーカードの登録は必須になりそうな気がします。
今回は
『デジタル時代の新規起業家必見!株式会社設立を効率化する「定款作成支援ツール」の全てを江戸川区船堀の司法書士・行政書士が解説』
についてでした。
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