気が変わった?自筆証書遺言の撤回方法どうすればいいのか?江戸川区の司法書士・行政書士が解説

東京都江戸川区船堀 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

自筆証書遺言で書いたのですが、諸事情で遺言書を書き直したいのですが、どうすればいいですか?

質問者のような遺言書を書き直したい、そのような事情は出てくるでしょう。

前の遺言を直したい場合、どうすればいいのか?

今回は前に書いた遺言書を書き直すにはどうすればいいかを紹介します。

自筆証書遺言を書いたが、気が変わり、前書いたものを撤回したい・・・

自筆証書遺書を書きました。
しかし、気が変わり、前の遺言を撤回したいのですが、どうすればいいですか?

遺言書を早い段階で用意するのはいいことです。

しかし、遺言書を書いてから、諸事情で家族環境など変わることも多々あります。

もしくは、財産が増えたので前の遺言を撤回して新しく作り直したい場合、どうすればいいのでしょうか。

ここで最高裁判所の判例が出たので紹介しましょう。

最高裁判所で自筆証書遺言の訂正についての判決が・・・

今回、遺言の撤回を書く前に、最高裁判所で、興味ある判決がでたので紹介します。

平成27年11月20日、最高裁判所で自筆証書遺言書の文面全体に赤色のボールペンで斜線を引いた場合の効力についての判決がありました。

結論から書くと、遺言全体が無効になると判示されました。


(判決要旨)
遺言者が自筆証書である遺言書の文面全体に故意に斜線を引く行為が民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し遺言を撤回したものとみなされた事例 

判決全文

遺言書自体の文面は判読でき、遺言書自体有効とも取ることができそうですが(原審はそのように判示しました。)、
最高裁は、遺言者の意思に重きを置いた判断といえます。

つまり、この遺言書自体をは遺言者はないものにしてしまおうという意思が強く働いたものであるから、遺言書自体無効にすべきとしたのでしょう。

ただ、だいたい遺言書で揉めるときは、曖昧な場合に基づくことが多く、トラブルのもとになることが多いです。

なので、紛らわしい遺言書の撤回は避けたほうがいいです。

遺言書の具体的撤回方法は?

では、実際に自筆証書遺言を撤回する方法を書きます。

撤回方法としては以下の方法かあります。

1、前の遺言を撤回して新たな遺言を作成する方法

新しい遺言書に、

・遺言者の名前
・前の遺言書を作成した日時
・前の遺言の全部または一部を撤回する旨
・新たな遺言内容

を書きます。

撤回行為が撤回されたり、効力が失われていても、いったん撤回した遺言は原則として復活しません。

さらに注意しないといけないのは、第2の遺言で第1の遺言を撤回したが、さらに第1の遺言を撤回した第2の遺言をさらに撤回しても、原則として第1の遺言は復活しません

2、単に前の遺言と抵触する遺言を新たに作成する方法

前の遺言と抵触する遺言がなされると、抵触する部分について前の遺言が撤回したものとみなされます。

抵触するとは、両者の遺言内容が両立し得ないことを意味します。

3、遺言者が遺言後にその内容と抵触する生前処分その他の法律行為をする方法

4、遺言者が故意に遺言書を破棄する方法 

公正証書遺言の場合、遺言書の原本が公証役場に保管されているため、遺言者自身が保管している公正証書遺言を
破棄しても撤回にはなりません。

5、遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄する方法

遺言の撤回は新しいものを作り直すべき

個人的意見ですが、もし、以前書いた遺言書を撤回したいときは、新たに遺言書を作成すべきです。

なお、自筆証書遺言を法務局で保管した場合に、遺言書の内容を変えたいときについて、法務省HPを引用いたします。

Q 遺言書の保管の申請をした後に、遺言書の内容を変更したい場合はどうすればよいですか。


A 遺言書の保管の申請の撤回を行うと、遺言書の返還を受けることができます。

返還された遺言書を物理的に廃棄し、新たに遺言書を作成して、再度保管の申請することで、内容を変更後の遺言書の保管が可能であり、この方法を推奨します。


その他にも、返還された遺言書を民法968条3項の方法で変更して、再度保管の申請をする方法と、撤回をせずに、別途新たに遺言書を作成して、追加で保管の申請をする方法があります。

追加で保管の申請をする方法だと新旧複数の遺言書が存在することとなります。


なお、いずれの場合も改めて遺言書の保管の申請の手数料がかかります。

法務省「自筆証書遺言 よくある質問」より抜粋

まとめ

最高裁判所でつい最近、自筆証書遺言の破棄について判示されたので遺言書の破棄の方法をまとめてみました。

もし、遺言した内容を変えたいならば、司法書士や行政書士に相談して下さい。

今回は
『気が変わった?自筆証書遺言の撤回方法どうすればいいのか?江戸川区の司法書士・行政書士が解説』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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