商業登記規則の改正 9月に改正されるのは4つ!概略を江戸川区の司法書士が解説

東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

商業登記関連の改正があることをご存知ですか?

今までの会社法改正は中小零細企業はあまり関係無かったですが、今回の改正は中小零細企業でも関連のある改正も含まれています。

中小零細企業の優先順位を考慮して、今回の商業登記規則の改正点を紹介します。

商業登記規則の改正点は4つ

令和4年9月1日に改正される内容は、以下のとおりです。

1 支店の所在地における登記の廃止
2 会社代表者等の住所の非表示措置について
3 併記可能な旧氏の範囲の拡大について
4 電子提供措置をとる旨の定めが登記事項となることについて

以下、一つずつざっくりと解説していきます。

1つ目 支店の所在地における登記の廃止

中小零細企業で支店の登記を設けている会社はそこまで多くはありません。

ただ、本店所在地とともに支店にも本店と同じような扱いをしている会社の場合、支店の登記をしている会社もあります。

支店の登記は本店所在地に支店設置の登記をして、支店所在地にも登記簿を備え置くことになっていました。

しかし、現在、支店所在地の法務局でも本店所在地の登記事項証明書を取得できるようになり、支店所在地で登記簿を備え置く実益がなくなりました。

そこで、支店の登記簿をなくし、支店所在地での商号変更などがあったときも変更登記を入れる必要がなくなります

とはいっても、支店そのものの登記は残るので、支店移転したり支店廃止をしたときは登記申請する必要があるので注意です。

詳しくはこちらのブログを御覧ください。

2つ目 会社代表者等の住所の非表示措置について

代表者の住所の非表示については、様々議論がありましたが、今回は、下記条件に当てはまる場合に、代表者の住所非表示措置をとることができるようになりました。

要件は以下のとおりです。

1 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者であって更なる暴力によりその生命又は身体に危害を受けるおそれがある者

2 ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号。以下「ストーカー規制法」。という )第6条に規定するストーカー行為等に係る被害を受けた者であって更に反復して同法第2条第1項に規定するつきまとい等又は同条第3項に規定する位置情報無承諾取得等をされるおそれがある者

3 その他これらに準ずる者(規則第31条の2第1項 。)

ただ単に、住所が公表されることで、プライバシーが侵害されるだけでは、要件を満たさないことになります。

申出の方法は、申出書に必要な事項を記載し、添付書面を添付して申請することになります。

司法書士に委任する場合は、委任状が必要です。

添付書面としては、以下のものが該当します。

1 住所が明らかにされることにより被害を受けるおそれがあることを証する書面

市区町村が発行しているDV等支援措置決定通知書や、ストーカー規制法に基づく警告等実施書面、配偶者暴力相談支援センターのDV被害者相談証明といった公的書面がこれに該当します。

2 申出書に記載されている被害者等の氏名及び住所が記載されている市町村長(特別区の区長を含む )その他の公務員が職務上作成した証明書(被害者等が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む )

被害者等の住民票の写し若しくは住民票記載事項証明書、戸籍の附票の写し又は外国に居住する取締役等の氏名及び住所が記載されている日本国領事が作成した証明書のほか、運転免許証やマイナンバーカード等の謄本であって、被害者等が原本と相違ない旨を記載し、記名したものも該当します。

注意なのは、登記申請書でなく、申出書で行うところでしょうか。

なお、同時に施行を予定していた登記情報提供サービスにおける会社代表者等住所の一律非表示については、施行を延期することになったので注意です。

3つ目 併記可能な旧氏の範囲の拡大について

今回の改正で、登記簿に記録するよう申し出ることができる旧氏は、婚姻前の旧氏に限られず、登記の申請時以外の申出も認められることとなりました。

具体的には、併記可能な旧氏の範囲が拡大され、婚姻前の旧氏に限らず、養子縁組前の旧氏や、離婚後婚姻中の旧氏なども併記可能となります。さらに登記の申請時以外の申出も可能となります。

こちらも登記申請書ではなく、申出書で行うことになります。

添付書面としては、記録すべき旧氏を証する書面が必要になります。

具体的には、初めて旧氏を記録する場合は、併記しようとする旧氏の記載がある除籍抄本等から現在の氏の記載がある戸籍に至る全ての戸除籍抄本等が必要です。

なお、住民票やマイナンバーカード、運転免許証に既に併記されている旧氏と同じ旧氏の併記を希望する場合には、これらの写しでも足ります。

一部の運転免許証等、裏面にのみ旧氏が記載されるものについては、裏面も複写されたものでないといけません。

上記以外の場合は、併記しようとする旧氏の記載がある除籍抄本等から現在の氏の記載がある戸籍に至る全ての戸除籍抄本等が必要となるので注意です。

4つ目 電子提供措置をとる旨の定めが登記事項となることについて

こちらは大会社がメインとなる改正ですが、中小零細企業でも設置可能です。

中小零細企業の場合でも、電子提供措置をとる旨の定めがあるときは、その定めが登記事項とされます。

なお、昨今、電子提供措置をとる旨の定款の定め」は、通達の記録例どおりに記載して登記申請しなければならないのか疑問がありました。

法務省では、「電子提供措置をとる旨の定款の定め」は、原則として当該株式会社の実際の定款の定めのとおり登記する(登記すべき事項となる)こととなり、通達の記録例どおりに記載して登記申請する必要はないとされています。

なお、令和4年9月1日において振替株式を発行している会社についても同様の取扱いとなります。

こちらについては、下記のブログでも書きましたので御覧ください。

まとめ(今日の気づき)

令和4年9月1日から商業登記規則が改正される。

改正される内容は4つで、中小零細企業でも影響のある改正も含まれている

今回は
『商業登記規則の改正 9月に改正されるのは4つ!概略を江戸川区の司法書士が解説』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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