支店所在地における登記の廃止 令和4年9月1日予定 支店登記について司法書士が解説します
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
令和元年12月14日に会社法改正が国会で成立し、令和3年4月1日から施行されています。
中小零細企業ではあまり影響が少ない改正と言えますが、一部影響が出るところがあります。
それは支店所在地における登記の廃止です。
どうやら、支店所在地における登記の廃止も改正対象でしたが、時期がずれました。
どうやら改正時期が決まりそうなので、今回はそのあたりを紹介します。

支店所在地における登記の廃止について
支店登記 現状はどのように登記されているか?
支店設置の実体的手続についてまず紹介します。
支店を設置したい場合、会社の本店所在地で、支店設置に関する決議を行います。
支店を設けるためには、取締役会設置会社では取締役会の承認、非取締役会設置会社では取締役の過半数の一致が必要になります。
さらに支店を設けた場合には、本店所在地の法務局には「支店設置」の登記が必要です。
さらに支店所在地でも支店の登記簿を設ける必要があります。
そもそも支店を設ける意味は?
よく、支店と営業所の違いを聞かれるので、「支店」を設けることの意味を紹介します。
支店を設ける意味としては、本店と同じような機能や権限を支店でも持たせたい場合に設ける意味があります。
本店と支店と独立採算みたいな形にするというイメージでしょう。
一方で営業所は、会社の意思決定をすることができず、単に営業活動をしている拠点に過ぎません。
なので、中小零細企業の場合は、営業所を設けるという意味合いが強く、よほどのことがない限り「支店」を設けることはありません。
経営者の中には
「支店」=「営業所」
という感じで考えていることが多いですが、支店と営業所を設置する意味合いは大きく異なります。
支店所在地の登記の廃止とは?
かつては、本店の登記簿と同様のことを支店の登記簿で記載する必要がありました。
しかし、現状、支店所在地の登記簿には、「商号」「本店所在地」「支店所在地」くらいしか登記事項はありません。
さらに支店所在地の管轄法務局でもインターネットで本店所在地の登記事項証明書を入手できます。
なので、支店所在地の登記簿の意味合いがなく、支店所在地での登記を廃止する運びとなりました。
改正時前後で支店設置の際に気をつけること
施行日までは、支店設置の登記をすると、支店所在地に登記簿がない場合は、別途支店の登記簿を作る必要がありました。
さらには、本店の登記事項につき、支店所在地でも登記が必要な場合、「商号」「本店移転」の場合は、支店所在地でも登記申請する必要があります。
なので、別途支店分のについての登録免許税が必要でした。
しかし、支店所在地における登記簿がなくなることで、別途支店所在地の登記を申請する必要がなくなり、コストが削減できます。
支店所在地については本店所在地の登記簿で
すべて管理されると思ってください。
さらに、9月1日以降支店設置の予定の場合は、本店所在地のみの法務局で登記をすればいいですが、施行日前に支店設置の登記をするときは支店所在地の法務局にも登記申請が必要な点は注意してください。

まとめ
あまり支店所在地の登記事項証明書を取得することはほぼないです。
今は日本全国の法務局(登記所)で登記事項証明書が取得できるので、支店所在地の登記の廃止は時代の流れといっていいでしょう。
今回は
『支店所在地における登記の廃止 令和4年9月1日予定 支店登記について司法書士が解説します』
に関する内容でした。
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