東京都江戸川区葛西駅前 会社設立などの企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
先日ある会社の代表取締役が解任されるということがニュースで流れました。
ところで代表取締役を解任する場合、どの機関で行われるのかご存知ですか。
今回は代表取締役の解任についてと前提として取締役会の招集方法について書きます。
実際に日産がどのように取締役会を招集したのか、代表取締役の解任決議はどのくらいの割合で賛成したかまでは現状把握できておらず、推測で書いている部分もあることをご承知下さい。
代表取締役の解任の方法は?取締役会の招集手続も含めて
取締役会の招集手続はどのようにするのか?
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第368条
1 取締役会を招集する者は、取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各w:監査役)に対してその通知を発しなければならない。2 前項の規定にかかわらず、取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
取締役会は、各取締役に招集権限があります。
原則1週間前までに取締役、監査役全員に招集通知を出す必要があります。
また、定款若しくは取締役会規程で取締役会の招集権限者を定めていた場合、他の取締役が取締役会を招集するときは所定の手続きが必要です。
定款等で招集期間を短縮することも可能です。
今回の日産の例だと、カルロス・ゴーン氏が逮捕されたのは今週の月曜日、取締役会が開かれるのは木曜日、よほど内部で逮捕の噂がない限りは招集期間が1週間ありません。
また取締役・監査役全員の同意があれば招集手続を経ずに取締役会を開催することはできますが、逮捕者が出ているため2名の同意は得られないでしょう。
おそらく、緊急を要する場合には取締役会の招集機関を短縮できる旨の定款の規定があるのかもしれません。
それで取締役会を招集できたのだと思います。
代表取締役の解任決議について
今回の日産の取締役会の主な議題はカルロス・ゴーン氏ともうひとりの代表取締役の解任決議でした。
そこで、あなたは2名が出席しなくても代表取締役の解任決議ができるのか、代表取締役の解任の際に弁明の機会を与えなくてもいいのかという疑問が湧くでしょう。
まず、会社法第369条で次のように規定されています。
第369条
1 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。2 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
定款の規定に特段の定めがなければ、出席取締役の過半数の出席で、その過半数の賛成で議案が成立します。
議決に加わることができない場合として、第2項で特別利害関係を有する場合があります。
特別利害関係の例として取締役と会社との直接取引の場合があたります。
この特別利害関係について、代表取締役を解職される者も議決権を有しないとされています。
別に取締役会で意見を述べるのは構わないが、解任決議の際は自ら議決権行使はできないのです。
なので、代表取締役が逮捕されて取締役会に出席できなくても、決議は有効に成立してしまうのです。
まとめ
実際に日産がどのような手続きで取締役会を招集して決議を行ったかはわかりません。
あくまでも会社法、定款等の規定に基づいて行われたことは間違いありません。
今回は
『代表取締役の解任の方法は?取締役会設置会社と非設置会社とは異なるのか?』
に関する内容でした。
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代表取締役の解任方法はこちらのブログでも紹介しています。ぜひご覧ください。
参考書籍
新しい取締役会議事録作成の実務
中村 直人,仁科 秀隆,山田 和彦,中島 正裕 商事法務 2018-10-31
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