取締役の「解任」を考える やはりイメージが悪くなってしまうのか?江戸川区葛西の司法書士が解説します
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
ある牛丼チェーンのグループ会社内で、取締役を解任したというニュースが流れました。
プレスリリースをみると「取締役会で解任した」となっています。
会社法上では「取締役」を解任するのはどこの機関になるのかも含めて、一般論で解説していきます。
取締役の「解任」を考える やはりイメージが悪くなってしまうのか?
取締役会で取締役を解任できるのか?
取締役の会社に対するイメージダウンや損失を原因として辞めさせたい、会社側からの一方的理由で解任する場合はどうすればいいのか?
原則は、取締役は取締役会では解任できません。
取締役は株主総会の決議をもって解任することになります。
なので、本来牛丼チェーンのグループ会社内の場合も株主総会で解任するのが筋です。
ただ、ある先生のブログに以下のことが書いてありました。
100%子会社の取締役なので、親会社の判断(厳密に言えば、子会社の株主総会の決議)で解任したということになる。
(内藤卓先生のブログより)
つまり、100%所有している株主がいる場合は、株主総会はいつでも開催できて、賛成を得られればその取締役は解任できるという趣旨です。
なので、プレスリリースではあえて株主総会で解任したとはせず、取締役会で解任したという表現になるのでしょう。
「解任」と「辞任」との違いは?
やはり、登記簿に「解任」と記載されるとこの会社は何かあったのかというのが第三者に公表されてしまうので、基本は「辞任」で行われることが多いです。
では「解任」と「辞任」とでは何が違うのでしょうか。
「解任」は株主総会の決議で一方的に委任契約が解消されることになり、会社の意思が強いとされています。
一方「辞任」は取締役自らの意思で委任契約を会社と解消するので、取締役自身の考えが強いです。
会社側の都合で辞めるのか、取締役側の都合で辞めるのか、意味合いが異なります。
なので、基本は「解任」であっても穏便に「辞任」で済ますことが実務では結構あります。
「代表取締役」の解任は取締役会で
取締役会設置会社の「代表取締役」に不祥事があって解任させたい場合、どのような手続が必要か?
結論は「取締役会」の決議で代表取締役の解任は可能です。
この場合、代表取締役は特別利害関係人となるため、議決権を有しないという扱いになります。
注意しないといけないのは、「代表取締役」の地位のみ解任となるので、取締役としては、依然として残るということになります。
なので、取締役も解任させたいのであれば、株主総会で行う必要があります。
まとめ
取締役を解任できるのは、株主総会であることをまずはご理解いただき、辞任と何が違うのか、第三者に対するイメージもあるので注意してください。
今回の某牛丼チェーンのグループ会社内では便宜取締役会で解任したとなっていますが、厳密には株主総会で行ったものと思われます。
今回は
『取締役の「解任」を考える やはりイメージが悪くなってしまうのか?司法書士が解説します』
に関する内容でした。
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