中小零細企業が定時株主総会をバーチャルで開催し、その決議をした株主総会議事録を添付しても登記申請は受理されません

中小零細企業が定時株主総会をバーチャルで開催し、その決議をした株主総会議事録を添付しても登記申請は受理されません

東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

昨今、新型コロナウイルス感染症対策の一環から、集合型の株主総会のあり方が見直されています。

今回、問題になるのは、完全にオンライン化で行う株主総会がそもそも有効な扱いでできるのか、中小零細企業でも採用できるのかについて書きます。

なお、このブログは令和3年12月29日に書きました。変更点があれば訂正いたします。

このブログは令和3年6月16日民商第103号法務局民事行政部長・地方法務局宛て民事局商事課長通知を参考に書きました。

中小零細企業が定時株主総会をバーチャルで開催し、その決議をした株主総会議事録を添付しても登記申請は受理されません

株主総会を開催するには「場所」を定める必要がある

株主総会を開催するには、招集手続が必要ですが、株主を招集する「場所」も会社法で定める必要があります。

なので「場所」の定めのない株主総会は、会社法上ではできない扱いです。

「場所」の定めについては、物理的に入場できるところでないといけません。

株主が少人数であれば、会社の会議室でもいいですが、人数が多いとホテル等で開催する必要があります。

会場の定めさえあれば、あとは会場に来られない人はネット配信を利用するなどの方法で株主総会を開催することが可能です。

ネット配信の場合の議決権の扱いについては議論があるところですが、リアルとバーチャルを併存して株主総会開催は可能となっています。

さて、「場所」の定めのないいわゆるばーちゃんオンリー株主総会の扱いについて、会社法本体ではなく、産業競争力強化法の改正で一定の会社に限定して行うことが可能となりました。

バーチャルオンリー株主総会ができる株式会社は限定される

株主の利益を確保に配慮することから、バーチャルオンリーの株主総会ができるのは、上場会社に限られる扱いとなります。

なので、中小零細企業はバーチャルオンリー株主総会を開催することができません。

ただし、上場会社であっても、勝手にバーチャルオンリー株主総会を開催できるのかというとそうではありません。

産業競争力強化法に基づく場所の定めのない株主総会に関する省令を受けた場合に限り。バーチャルオンリー株主総会を開催する旨を定款で定める必要があります。

この定款の定めのある上場会社に限り、バーチャルオンリー株主総会の開催が可能です。

ただ、令和5年6月16日までは、経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた上場会社については、定款の定めがあるものとみなされ、定款変更の決議なくバーチャルオンリー株主総会を開催することができます。

実際にバーチャルオンリー株主総会を開催した上場会社はあります。

商業登記でバーチャルオンリー株主総会を開催した議事録を添付した場合どのように扱われるのか?

バーチャルオンリー株主総会で登記事項について決議した場合、添付書面として何か必要なのでしょうか。

当然議事録にはバーチャルオンリー株主総会を開催した旨は記載されているので、それを裏付けるために定款の添付が必要です。

ただし、一定の要件の場合には、定款変更決議がなくてもできるので、その場合には経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた書面が必要です。

ただし、確認を受けた書面を使えるのは令和5年6月17日までのため、それ以降はバーチャルオンリー株主総会を開催したときは定款添付が必要です。

上場会社を裏付ける書面は、登記記録を見ればわかるので、添付は不要です。

中小零細企業の場合はみなし総会による開催を!

中小零細企業の場合は、バーチャルオンリー株主総会を実務上は開催できないと思ってください。

仮にバーチャルオンリー株主総会で行った旨の議事録を登記で添付した場合、非上場会社であれば却下されるリスクがあります。

中小零細企業の場合、似たような制度が使えないでしょうか。

実は、株主が数名の場合は、会社法第319条、320条を活用することができます。

いわゆる「みなし総会」「書面決議」と呼ばれるものです。

取締役が議案を提案し、株主全員が同意すれば、株主総会を行わずにできる制度です。

私は株主が少人数であれば、319条を用いて行うことを中小零細企業の経営者にすすめています。

まとめ

中小零細企業では会社法の改正がされない限り「場所」の観点からバーチャルオンリー株主総会を開催できません。

今回の場合はあくまでも産業競争力強化法に基づく法改正でできた制度なので、今後の会社法改正で株主総会に関する規定はどうなるか注目です。

今回は
『中小零細企業が定時株主総会をバーチャルで開催し、その決議をした株主総会議事録を添付しても登記申請は受理されません』
に関する内容でした。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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