役員変更 商業登記で取締役就任 代表者と平取締役 取締役会設置会社と非取締役会設置会社とで何か違いでもあるのか?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
意外とややこしい役員変更登記。
取締役の就任一つとっても論点があります。
このブログでも、取締役の就任登記のことについては何度も触れていますが、令和3年2月15日に商業登記法が改正になっているので、改めてまとめてみます。
前回の「取締役の辞任」についてと一緒にお読みいただけると嬉しいです。
「取締役の辞任」については、「あわせて読みたい」から御覧ください。
役員変更 商業登記で取締役就任 代表者と平取締役 取締役会設置会社と非取締役会設置会社とで何か違いでもあるのか?
取締役会設置会社と非取締役会設置会社とで就任承諾書の内容も変わってくる(取締役会設置会社の場合)
取締役会設置会社の場合、会社の代表者は「代表取締役」になります。
なので、株主総会でまずは平取締役を選び、その上で取締役会で代表取締役を選ぶのが原則です。
そこで、取締役会設置会社の取締役と代表取締役の就任承諾書の意味合いが異なります。
取締役の就任承諾書は、むしろ本人の実在性を求めることが強い印象です。
取締役の就任承諾書には、住所の記載が必要です。
さらに、添付書面として運転免許証の写しもしくは住民票などの本人確認証明書が必要です。
なお、書面申請の際は、取締役の就任承諾書に押印してある印鑑については法務局では審査しません。
押印がなくても登記申請は受理されますが、実務では就任承諾書に押印してもらうのがいいです。
一方、代表取締役の就任承諾書には、自分が就任するという意思を示す必要があります。
なので、代表取締役の就任承諾書には個人実印を押印し、印鑑証明書を添付する扱いとなっています。
ただし、実印押印と印鑑証明書の添付は就任の時だけで、再任のときは印鑑は認印でも構いません。
取締役会設置会社と非取締役会設置会社とで就任承諾書の内容も変わってくる(非取締役会設置会社の場合)
一方、非取締役会設置会社の取締役の就任承諾書について、取締会設置会社の取締役の就任承諾書と趣旨が異なります。
非取締役会設置会社の取締役の地位は「代表権」を有しているからです。
なので、就任承諾書には、再任の場合を除いて個人実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。
代表取締役の選定について、就任承諾書が問題となるのは、代表取締役を定款で「取締役の互選で選定する」場合です。
こちらは、取締役と代表取締役の地位が分化しているので、代表取締役の就任承諾書が別途必要ということになります。
こちらについては、印鑑は認印でも問題ないとされています。
実務での扱いはどうか?
書面申請で取締役の就任登記をする場合、就任承諾書を議事録で援用することがあります。
ただし、その場合、株主総会議事録に就任取締役の住所を記載する必要があります。
株主総会議事録は株主や会社債権者が会社に対して閲覧謄写請求ができるので、議事録に住所を記載することは好ましくありません。
なので、就任承諾書を別途用意し、自署されるのがいいかと思われます。
まとめ
取締役の就任一つとっても、結構ややこしい問題が出てきます。
意外と役員変更登記は侮れない一面があることを知っておくことが重要です。
今回は
『役員変更 商業登記で取締役就任 代表者と平取締役 取締役会設置会社と非取締役会設置会社とで何か違いでもあるのか?』
に関する内容でした。
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