事例で学ぶ商業登記 役員変更登記編
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 鉄道大好き司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
先日ある会社の社長が引責辞任するということで話題となりました。
司法書士受験生は、こういう例だったらどんな登記を申請して、添付書面は何かを調べると勉強になります。
今回はその会社を例にし、どんな登記をしなければいけないかを考えていきましょう。
事例で学ぶ商業登記 役員変更登記編
事例
取締役会設置会社で、取締役がA・B・C・D、代表取締役がA・Bと登記されている会社。
印鑑提出者がAの場合、諸事情でAが取締役・代表取締役を12月1日をもって辞任する場合、どんな登記を申請すればいいでしょうか?
なお、取締役の員数は3名以上と定款で規定されていることとします。
検討事項 取締役の辞任登記はできるか?
まず、取締役を辞任することで、法令もしくは定款に定めた員数を欠くことにならないかを見る必要があります。
もし、欠いていた場合、辞任登記は受理されず、権利義務状態で残るからです。
今回の事例ですと、取締役会設置会社で、取締役が3名以上必要であるところ、取締役を辞任しても員数を欠くことにならないので、辞任登記は受理されます。
もし、上記会社が取締役3名の場合は、後任者を株主総会で選任しない限り、辞任の登記は受理されません。
検討事項 辞任登記申請する際の辞任届の印鑑は?
今回の辞任登記は、印鑑を提出している代表取締役兼取締役が辞任するケースです。
辞任の場合は、辞任の意思表示が会社に到達した日に辞任するのが原則ですが、条件を付して辞任届を提出しても問題ありません。
今回の事例ですと、「12月1日をもって辞任します」と辞任届に記載してあれば、辞任日は、12月1日となります。
そして問題は、辞任届に押印する印鑑。
今回は印鑑提出者が辞任するため、辞任届には、認印ではダメです。
会社実印もしくは、辞任するA個人の実印とAの印鑑証明書いずれかにしなければなりません。
実務では、上記の場合は会社実印で押印することが多いです。
検討事項 印鑑提出する義務は?
代表取締役が変わり、Bが今度は代表取締役として印鑑を提出することになります。
よって、辞任登記を申請する際に、Bの印鑑届書を提出する必要があります。
Aが使用していた会社実印と同じ印鑑で大丈夫です。
印鑑届書を提出する際は、B個人の実印押印と印鑑証明書が必要になることに注意してください。
まとめ
司法書士受験生は、商業登記の場合、実際にあった事例を活用すると、勉強の際に役に立ちます。
役員変更や組織再編の場合、どういう手続を踏むのか、添付書類は何かを意識しながら勉強したほうが効率がいいです。
今回は
『事例で学ぶ商業登記 役員変更登記編』
に関する内容でした。
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参考書籍
改訂増補版 ケース別 株式会社・有限会社の役員変更登記の手続 | ||||
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