辞任届に記載した住所と登記事項証明書に記載されている住所が相違している代表取締役の辞任登記は受理されるか?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
以前、代表取締役の住所変更登記のことを書きました。
今回は派生論点で、代表取締役が辞任する際に住所が異なっている場合どうなるかについて書きます。
辞任届に記載した住所と登記事項証明書に記載されている住所が相違している代表取締役の辞任登記は受理されるか?
住所が異なっていても「重任」の場合は受理される
まずは任期満了で代表取締役の任期が切れて、同じ人が代表取締役となる場合、住所が変わっていても、新しい住所を記載して役員重任登記ができます。
引き続き同じ人が役員をするため、体裁を保つことができるからだとされています。
むしろこの場合が私は例外であるように感じます。
退任時代表取締役の住所が登記簿と異なっている場合の住所変更登記の要否
本来、代表取締役を辞めてしまうのであるから、住所変更登記は要らないのではないかというのが筋かもしれません。
しかし、当該代表取締役が辞めた場合、その者が代表取締役当時に起きた会社に関する責任追及ができなくなります。
なので、退任時の住所と登記簿の住所が異なる場合は、住所変更登記を入れた上で退任登記をしないといけないと言えます。
さて、本題に戻ります。
辞任届に記載されていた住所と登記簿の住所が異なっている場合、住所変更をせずに代表取締役の辞任登記は受理されるか?
結論は、住所変更登記をしないと受理されないと考えられます。
法務局の調査のとき、辞任届の住所が登記簿と一致していないと分かってしまい、補正を求められます。
なので、この場合は、代表取締役の辞任登記とともに代表取締役の住所変更登記も一緒に行う必要があります。
登録免許税は、辞任登記と同じ役員変更区分で別途追加で支払う必要はありません。
(資本金の額が1億円以下の場合は1万円、1億円超は3万円)。
権利義務のときに住所変更して再任された場合の住所変更登記の可否
すでに役員の任期が切れているにも関わらず、選任懈怠状態が続いていた会社で、役員改選の株主総会が行われ、同じ人を代表取締役にする決議をしたが、代表取締役が権利義務状態時に住所変更した場合、住所変更登記は必要か?
登記上は「退任」「就任」としないといけません。
そうなると、役員欄は別枠を作ることになります。
なので、住所変更登記はせずに「退任」「就任」登記をすることになります。
あくまでも権利義務状態時に住所変更した場合なので、任期満了退任前に住所を変えていた場合はどういう扱いになるかは「重任」と同じように考えても良さそうとも言えそうです。
まとめ
代表取締役の住所変更登記は意外とややこしい問題を含むこともあります。
代表取締役で住所を変えたら、費用がかかりますが、速やかに住所変更登記をすべきです。
今回は
『辞任届に記載した住所と登記事項証明書に記載されている住所が相違している代表取締役の辞任登記は受理されるか?』
に関する内容でした。
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参考書籍
商業登記ハンドブック第3版 | ||||
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