東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
昨今ある会社の公告方法で、重大なミスが発覚してしまい、定款一部変更が無効になってしまったということが話題になっています。
公告方法は、会社設立する上ではあまり重視されていませんが、一歩間違えると登記できなくなるので注意が必要です。
そこで、今回は再度「公告方法」についての注意点を紹介します。
定款一部変更が無効になった会社の事例
事例を紹介します。
この会社は既に公告方法として「〇〇新聞に掲載する」となっていました。
今回公告方法を変更するとのことで、株主総会で議案上程し、承認されました。
ちなみに公告方法を変更するときは、定款変更になるため、株主総会の特別決議が必要です。
今回その会社の定款変更案では、電子公告とし、予備的公告方法として「〇〇新聞または官報に掲載する」にして、提案し承認されました。
電子公告について、事故がある場合、予備的に公告方法を定めることには問題ありません。
電子公告を定める会社が予備的公告を定めることは結構あります。
では、今回の事例では何が問題になったのか、次の項目で紹介します。
公告方法を定める場合選択的定めをできるのか
今回問題になっているのは「〇〇新聞または官報に掲載する」と選択的な定めになっていること。
予備的公告でどちらか一方の方法で公告できればいいという考えは通用するのかという問題です。
実務では、上記の選択的な定め方は許されないとなっています。
選択的な定めをした公告する方法で登記申請しても受理はされません。
たとえ、電子公告の予備的公告であっても、選択的な定めはできないことになります。
なお、「〇〇新聞及び官報に掲載する」と重畳的な定めであれば、実務でもよくありますし、登記申請をしても受理されます。
しかし、重畳的な定め方を公告方法とした場合、公告する必要があるときはどちらか一方だけ公告するだけでは効力は生じません。
必ず、〇〇新聞と官報両方に公告をする必要があることに注意してください。
会社設立時の公告方法はどうするか?
会社設立時、多くの一般的な会社は、公告方法は「官報」にしています。
これは、電子公告にするとURLとかのドメインの準備が必要なのと、公告する場合に結構な手間がかかるため、「官報」にしていることが多いです。
しかし、ひとり会社の場合、減資とか合併などがない限り、あまり公告する機会がありません。
なので、電子公告を選択する余地もあるでしょう。
最近の会社の設立登記を見ていると、「官報」にしている会社が多い反面、「電子公告」を選択している会社も増えているように感じます。
決算公告は義務となっていて、官報に掲載するとそれなりに費用がかかります。
しかし、電子公告で決算公告をする場合は費用が無料となり、会社としてはコスト削減を図ることが可能です。
ただし、決算公告を電子公告出する場合、貸借対照表の要旨だけでは足りず、全てを公示する必要があるところに注意が必要です。
また、決算公告を電子公告でする場合は、掲載後5年間は見られる状態にする必要もあります。
まとめ
公告する方法一つとってもそれなりに論点があります。
これから会社設立するときは、本当に官報にするか、決算公告しか使う予定がなければ電子公告にするという選択肢もありでしょう。
今回は
『株主総会 中小零細企業でも完全オンライン化はできるのか?』
に関する内容でした。
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