本店移転登記 実は意外とややこしい問題がある!司法書士実務日記

本店移転登記 実は意外とややこしい問題がある!司法書士実務日記

ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 鉄道大好き司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

前回のブログで、会社の本店をどうするかということを書きました。

昨今のコロナ禍の影響で、本店をコンパクトにしようとする企業が増えています。

となると、本店を変えるのであれば、本店移転の登記が必要です。

今回は簡単なようでちょっとややこしい本店移転登記について書きます。

ブログで何度も書いている内容ですが、お付き合いいただけると幸いです。

本店移転登記 実は意外とややこしい問題がある!司法書士実務日記

意外とややこしい論点がはらんでいる本店移転登記

本店移転登記には、以下の2つに分かれます。

  • 法務局の管轄区域内で行う本店移転登記
  • 法務局の管轄区域外で行う本店移転登記

管轄区域外に本店移転登記をする場合、定款変更を伴うことが多いため、株主総会を開催する必要があります。

ただ、法務局の管轄区域内の本店移転でも定款変更を伴うことがあり、その場合は株主総会を開催する必要があるので注意です。

いったいどのような場合でしょうか。

管轄区域内でも定款変更を伴う本店移転とは?

例えば、定款で以下の会社があったとします。

「本店を東京都千代田区に置く」

この会社が、東京都中央区に本店を移転する場合です。

千代田区、中央区の管轄法務局は東京法務局なので、登記申請は管轄区域内の本店移転登記を申請すればいいです。

ただ、千代田区と中央区は最小行政区画が異なるため、上記の会社の場合、定款変更が必要です。

となると、株主総会を開催し、本店に関する定款の一部を変更する決議をしないと本店移転登記はできなくなります。

道を挟んですぐのビルに本店移転する場合でちょうど区境の場合は、注意が必要です。

添付書面も、定款変更をした株主総会議事録が必要となります。

管轄区域内の本店移転登記を株主総会でするか取締役の決定でするか?

本店移転登記で、同じ最小行政区画内で移転する場合、定款変更を伴わない場合、ひとり会社であれば、取締役の決定で具体的所在場所を決めることができます。

また、株主総会で具体的所在場所を決めても構いません。

もし、株主総会で本店の具体的所在場所を決めたら、株主総会議事録の他、株主リストの添付が登記では必要です。

取締役の決定で決めた場合は、取締役の一致を証する書面が必要ですがそれ以外には必要ありません。

自分の場合、どちらが多いかというと「取締役の一致」で本店の具体的所在場所を決めることが多いです。

まとめ

本店移転登記、簡単だと思っても思わぬ論点が隠れていることがあります。

本店移転にしても法律行為で成り立っています。

法律を知った上で手続をしないと後々トラブルのもとになります。

今回は
『本店移転登記 実は意外とややこしい問題がある!司法書士実務日記』
に関する内容でした。

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参考書籍

商業登記ハンドブック第3版

松井信憲 商事法務 2015年05月20日頃
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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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