ひとり株式会社のための株主総会の書面決議の活用を考える
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 鉄道大好き司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
先日東京司法書士協同組合から「新型コロナウイルス感染症対策に株主総会・取締役会の書面決議制度活用のすすめ」が発刊され、事務所に届きました。
そちらを読んでいて、むしろひとり株式会社であれば、通常の株主総会を開催するよりもより実体にあっている気がすると感じました。
なぜ、そう感じたのか、以前もブログで書きましたが、改めて書いていきます。
ひとり株式会社のための株主総会の書面決議の活用を考える
ひとり株式会社でより実体にあっている
ひとり株式会社の場合は、取締役と株主が同一人物です。
なので、取締役が総会開催を招集し、株主が議決権を総会で行使するというのが個人的にはしっくり来ていません。
なので、自分で株主総会の議案を提案し、それに同意すれば、わざわざ株主総会を開いた議事録でなくてもいい気がしているのです。
そのように考えると、ひとり株式会社の場合は、通常の株主総会の形式よりも「書面決議制度」を活用したほうがいいのです。
書面決議制度を採用した場合であっても議事録は作成する
法律上は、取締役が株主総会の決議に関する事項を提案し、株主が同意する。
全員が同意した段階で総会が開催されたものとみなされます。
基本は総会が開催されたものとみなされた日に効力が発生します。
ひとり株式会社の場合は、効力を発生させたい日に同意すれば問題ありません。
また、総会を開催したとみなされた場合であっても、会社法施行規則に基づき、株主総会議事録を作成して保管しなければなりません。
みなし総会で登記に絡む事項がある場合は、添付書類としてみなし総会に関する議事録を添付する必要があり、あわせて株主リストも必要です。
提案書と同意書は、添付書面にはなりませんが、後日の紛争予防のため、作成すべきでしょう。
提案書と同意書について
取締役から株主に対して「提案書」を出し、株主は取締役から提案を受けた事項に同意する「同意書」を提出します。
この提案書と同意書についてですが、「提案書」と「同意書」を別々にする必要があるのでしょうか?
個人的には「提案書」「同意書」は1枚にまとめています。
別に法律上様式についての制限はなく、なるべくひとり株式会社に負担がかからないような形にしています。
先程も書きましたが、登記申請の際には「提案書」「同意書」は不要です。
まとめ
これからの時代、コンプライアンス重視の観点から、ひとり株式会社であっても定時株主総会を開催しているかは問われる時代になってくると思われます。
そのときに「書面決議制度」を活用してみてはいかがでしょうか。
今回は
『ひとり株式会社のための株主総会の書面決議の活用を考える』
に関する内容でした。
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議事録作成の実務と実践 | ||||
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