小さな会社の法務 会社の運営や業務はどのように決めるのか?

東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。

はじめに

小さな会社の法務。
株式会社で、会社の運営なり業務に関することはどこで決めればいいのか。

株主総会?それとも取締役の一致?

今回は株式会社の業務や運営の決定機関について書いていきます。

なお、小さな会社の定義は、取締役会を置かない会社で、取締役が1名もしくは複数の会社、株主も少人数の会社を想定します。

当然ひとり株式会社も対象となります。

小さな会社の法務 会社の運営や業務はどのように決めるのか?

株主総会で決定できることは?

取締役会を置かない会社、今回の対象となる小さな会社については、株主総会での決議事項は以下のように会社法で定められています。

(株主総会の権限)
第295条
1 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。

会社法295条第1項で、取締役会を置かない会社では、株主総会が万能機関として作用するという意味合いがあります。

上記内容を定款に規定するかについては、条文そのままを明記することで、株主が株主総会で決議できることを周知できるので、定款に規定する意味はあると言えます。

なお、取締役会でない株式会社は定款で法定決議事項以外の事項について株主総会の決議では定めることができないことを定めることも可能とされています。(別冊商事法務295号76頁)

取締役の業務に関する事項について

取締役の業務については、取締役1名であればそのものが単独で決めることができ、取締役が2名以上いる場合には、定款に別段の定めがなければ、取締役の過半数をもって決するとされています。

その規定が会社法第348条2項で定められています。

(業務の執行)
第348条
2 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。

別段の定めの例としては

  • 株主総会の決議事項とする
  • 事実上の取締役会みたいなものを設けてその決議によるものとする
  • 決定の要件を過半数より重くすること

などが考えられます。

本店移転の場合、どのように決めるのか

例えば東京都千代田区から中央区に本店移転する決議をするとします。

この場合、定款変更を伴うので、株主総会の決議が必要です。

そして、中央区のどこに移転するか具体的所在場所を決定するのは会社の業務執行になるので、原則は取締役の過半数の一致が必要です。

ただ、定款で、業務執行の決定のうち、本店移転決議について株主総会で行うとなっていた場合は、中央区の具体的所在場所についても株主総会で決議することが可能です。

その場合、本店移転の登記の添付書面として、会社法348条2項の例外にあたるため、定款添付を要するものと解されます。

取締役会を置かない会社で株主総会で本店に関する定款変更決議と具体的所在場所を別々の決議で行う場合も多いです。

その場合に定款はいらないという考えもあり、実際はどうなのか・・・・

まとめ

取締役会を置かない会社の場合、組織、運営、管理については株主総会で決議可能です。

業務執行については取締役の過半数で決めることができますが、定款で別段の定めが可能です。

今回は
『小さな会社の法務 会社の運営や業務はどのように決めるのか?』
に関する内容でした。

あわせて読みたい

ひとり株式会社も小さな会社でも株主総会は開く必要があります。そのあたりを書きましたので、ぜひご覧ください。

参考書籍

会社法定款事例集

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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