ひとり株式会社で取締役を増やしたい場合株主になってもらう必要はあるのか?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 鉄道大好き司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
ひとり株式会社ですが、この度規模を大きくしたいので、取締役を1名追加したいと思います。
その方にも株主になってもらう必要はあるのか?
原則は株主でなくても取締役になることはできます。
ただし、定款に「取締役は株主に限る」となっていた場合は注意です。
以前ひとり株式会社から取締役を追加する際の注意点についてブログで紹介しました。
今回は取締役の地位と取締役を追加するときの留意点を書きます。
ひとり株式会社で取締役を増やしたい場合株主になってもらう必要はあるのか?
取締役になる資格はあるのか?
取締役になるときに、何か資格は必要なのでしょうか?
基本は取締役になるための資格はいりません。
会社法に定めている欠格事由に該当しなければ、未成年者であろうと取締役になることは可能です。
例えば、法人とか、成年被後見人・被保佐人(ここは次の会社法改正で変わります)、会社法上その他の法律で処罰されて一定期間経過していない者や執行が終わっていないものが該当します(会社法第331条1項)
ただし、非取締役会設置会社の場合、取締役になるためには印鑑証明書が必要なので、未成年者が取締役になるためには、印鑑登録できる年齢でないと難しいです。
さて、取締役は上記欠格事由に該当しなければ取締役になる資格を有しますが、例外があります。
公開会社でない株式会社の場合、定款で取締役の資格制限を設けることができます。
定款による資格制限とは?
会社法で、公開会社でない株式会社では、取締役を株主に限るという制限を設けることができます(会社法第331条2項)。
なので、もし、定款に以下の規定がある場合には、原則株主でないと取締役になることはできません。
これは創業者一族以外の者が取締役になることで会社の経営が安定しなくなるというリスクを防ぐためにある規定です。
定款では、以下のように規定されていることが多いです。
(取締役の資格)
第○条 当会社の取締役は、株主の中からこれを選任する。ただし、必要があるときは、株主以外の者から選任することを妨げない。
ただし書きを設けている定款内容が多く、しっかりとした理由があれば、株主以外の者を取締役にすることは可能です。
もし、定款に資格制限の規定があれば、それを排除するか、例外に当たる正当な理由をしっかり考慮してから取締役を選任すべきです。
追加する取締役に関する他の注意点は?
取締役を新たに追加する場合に注意なのは、任期の件。
定款の規定で増員取締役は、在任取締役と任期を合わせることが多いので、定款に定めてある任期より短いことがほとんどです。
また、追加取締役が途中で、会社の方針とそぐわないとかで退任させたい場合でも、任期満了までは、退任事由は辞任もしくは解任しかありません。
場合によっては、取締役ごとに任期を定めたほうがいいかもしれません。
まとめ
取締役を追加する際はまずは定款の内容を確認したほうがいいですね。
はい、定款は会社の礎となるものなので、絶えず経営面で変更したい場合は定款で確認してください。
今回の取締役の追加も資格制限の定款の旨があったら注意しないといけない事項です。
今回は
『ひとり株式会社で取締役を増やしたい場合株主になってもらう必要はあるのか?』
に関する内容でした。
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参考書籍
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