商業登記の役員変更 取締役の「就任」登記を考える
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
取締役の役員の退任については、このブログを読んであらかた理解できました。
就任のときに気をつけないといけないことは何でしょうか?
退任同様、就任のときも様々な問題があります。
今回は、役員変更の「就任」に焦点をあてて紹介します。
商業登記の役員変更 取締役の「就任」登記を考える
取締役の就任はどのようにすればいいのか?
取締役の就任は株主総会で行います。
中小零細企業の場合は、取締役ごとに行わず一括して選任者を決めることがほとんどです。
取締役の選任決議は普通決議ですが、ちょっと特殊性があります。
会社法第341条では、以下のような規定があります。
(役員の選任及び解任の株主総会の決議)
第341条
第309条第1項の規定にかかわらず、役員を選任し、又は解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。
普通決議の場合は、定款で定足数を排除できますが、取締役等の選任については定足数排除はできず、最低でも議決権を有する株主の3分の1以上の出席が必要です。
会社設立の際に定款で普通決議の排除の規定を設けた場合は、役員の選任に関する決議を別途設けることも重要です。
ただし、小さな会社の場合は、創業者で議決権の大多数を占めるのでそこまで問題にしなくてもいいです。
任期満了し、再任された場合の扱い
定款で取締役の任期を定めないといけません。
任期が満了したら、その定時株主総会で役員の再任決議を経る必要があります。
その場合、再任された場合の役員は「退任」「就任」ではなく「重任」となるので注意が必要です。
さらに注意して頂く必要があるのが、任期満了しているにも関わらず、選任懈怠状態が続き、役員の選任を忘れてしまった場合。
その時は、本来の任期が満了する時点で「退任」、新たに選任された株主総会をもって「就任」となり、「重任」にはなりません。
さらに「退任」と「就任」の間にはタイムラグが空いたように登記簿から見えてしまうので、許認可の場合、この期間は会社経営していなかったと見られる傾向にあります。
必ず、選任するときに、次の任期満了時はいつかを押さえておくことが必要です。
場合によっては、選任決議のときに、次の任期はいつまでかを議事録に残しておくのもひとつの方法です。
まとめ
役員の選任についても単純でありながらややこしい問題があります。
特に非取締役会設置会社の場合は色々論点が出ますので注意が必要です。
今回は
『商業登記の役員変更 取締役の「就任」登記を考える』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
「役員変更登記の退任事由」についてはこちらのブログも合わせて御覧ください。
参考書籍
司法書士が“ここだけは”税理士に伝えたい中小企業における株主・役員の法務Q&A | ||||
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