商業登記の役員変更 役員の退任事由を考える(その2)
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
前回、役員の退任事由を考えるというタイトルでブログを書きました。
意外と「退任」事由まで意識しなかったという方も多いかもしれません。
今回はもう少し「退任」事由を掘り下げて紹介していきます。
商業登記の役員変更 役員の退任事由を考える(その2)
「辞任」「解任」の意味合いを掘り下げる
実際、中小零細企業の経営者の方のお話を伺うと、「辞任」と「解任」の区別がついていない方が多いです。
取締役と会社との関係は委任関係。
「辞任」は取締役の側から委任関係を解除するという意味合いで、自発的な感じがあります。
一方「解任」は会社の側から委任関係を解除するという意味合いです。
株主総会の決議で委任関係を解除するので、結構重みがあります。
登記簿にも「辞任」「解任」が載ってしまうことに注意が必要です。
「解任」は取締役選任と同じ決議(普通決議)で足ります。
ただ、「解任」は「就任」と違って重いイメージがあるため、定款で決議要件を特別決議にしているところもあります。
「解任」決議の要件は設けてありませんが、正当な理由がない解任は、解任された取締役から損害賠償の対象となるので注意が必要です。
任期を短縮する定款変更決議をした場合の退任事由は?
定款で、任期を10年にしている会社が、様々な事由で任期を短縮することがあります。
例えば、任期10年の会社が任期を5年に短縮するような場合、すでに任期が6年経過している場合はどうなるのでしょうか?
結論からいうと、任期がすでに切れていると判断されます。
この場合の退任事由ですが「任期満了」ということになり「辞任」とかにはなりません。
登記申請の際の添付書面は、任期短縮の決議をした株主総会議事録があれば足ります。(株主リストも必要)
ただし、任期をある取締役を解任させたいがために短くしてしまった場合、任期満了退任にはなりますが、正当な理由がない解任と同じ扱いにされる可能性もあります。
その場合は解任同様、損害賠償の対象になることも想定されるので、扱いには注意が必要です。
まとめ
役員変更登記そのものは「退任」「就任」でできます。
それに至るプロセスがややこしい事情が中小零細企業の場合多いので、登記手続がややこしいことが多いです。
一筋縄にはいかないのが役員変更登記なのです。
今回は
『商業登記の役員変更 役員の退任事由を考える(その2)』
に関する内容でした。
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「役員変更登記の退任事由」についてはこちらのブログも合わせて御覧ください。
参考書籍
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