自筆証書遺言 法務局における自筆証書遺言保管制度について
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
遺言書を書きたいと思っています。なるべく費用を安く済ませたいと思うのですが…
自分で書くのは面倒ですが、自分で書こうと思います。
でもせっかく書いても無くしてしまうのが心配で…
自筆証書遺言を法務局で保管できる制度はご存知ですか?
せっかく自筆証書遺言で行うのであれば、所定の用紙に遺言を書いて、法務局に保管してもらうと安心です!
実は家庭裁判所での検認手続もいらなくなります!
今回は、法務省で公表されている「法務局における自筆証書遺言書保管制度について」をもとに、自筆証書遺言のことについて書きます。
法務局における自筆証書遺言保管制度について
自筆証書遺言のメリット・デメリットは?
自筆証書遺言は、思い立ったらすぐに作成できるところがメリットです。
そして、一番のメリットは、費用がかからないで作成できるところです(公正証書遺言は費用がかかります)。
ただ、自筆証書遺言は、財産目録を除いて、全て自筆で記載する必要があります。
ワープロで作成することはできません。
当然ですが、動画で遺言者が話したものを記録しておくのも、法律では認められていません。
あと、自筆証書遺言の場合、法律の要件に従って書かないといけないのもデメリット。
日付も遺言を書いた日付を書く必要があり、訂正方法も法律で決められているため、注意が必要です。
法務局に保管する自筆証書遺言を書きたい場合はこちらの記載例を参考にするといいでしょう。
法務局で保管する場合の遺言書の記載方法は?
自筆証書遺言は、どんな用紙に記載しても構いませんが、法務局に保管をするためにはA4サイズで記載する必要があります。
文字の大きさは指定はありませんが、長期間保管するものなので、文字の判読を妨げないものを使う必要があります。
あと、注意していただきたいのは、上下左右余白を設ける必要があること。
スキャンして保管する必要があるためです。(データで保管)
用紙や遺言書を提出する際の要件は以下のとおりです。
1 用紙は,文字が明瞭に判読できる日本産業規格A列四番の紙とする。
2 縦置き又は横置きかを問わず,縦書き又は横書きかを問わない。
3 各ページにページ番号を記載すること。
4 片面のみに記載すること。
5 数枚にわたるときであっても,とじ合わせないこと。
6 様式中の破線は,必要な余白を示すものであり,記載することを要しない。
(縦書の場合上5ミリ以上、下10ミリ以上、左20ミリ以上、右5ミリ以上の余白を必ずあける必要があり)
自筆証書遺言はどこで保管してもらえるのか?保管は自分以外でもできるか?
自筆証書遺言を保管してもらえるのは、以下のいずれかを管轄する法務局になります。
- 遺言者の住所地
- 遺言者の本籍地
- 遺言者が所有する不動産の所在地
あとで遺言の内容を訂正して再度保管する場合は、同じ遺言保管所となりますので、そのことを考えて保管するといいでしょう。
遺言の保管の場所は上記場所により、法務局が異なります。
管轄法務局は、以下のホームページでご確認ください。
東京の場合は、場所によって預かる管轄が異なりますので特に注意です。
東京都の場合の自筆証書遺言保管所は以下のとおりとなります。
自宅から近い法務局が自筆証書遺言保管指定場所になっていないこともあるので注意してください・
都内保管法務局 | 管轄区域 |
東京法務局 |
千代田区/中央区/港区/新宿区/文京区/台東区/墨田区/江東区/品川区/目黒区/大田区/ 世田谷区/渋谷区/杉並区/足立区/葛飾区/江戸川区/大島町/利島村/新島村/神津島村/ 三宅村/御蔵島村/小笠原村/八丈支庁の所管区域 |
東京法務局板橋出張所 | 中野区/豊島区/北区/荒川区/板橋区/練馬区 |
東京法務局八王子支局 | 八王子市/立川市/昭島市/町田市/日野市/国分寺市/国立市/東大和市/武蔵村山市 |
東京法務局府中支局 |
武蔵野市/三鷹市/府中市/調布市/小金井市/小平市/東村山市/狛江市/清瀬市/東久留米市/ 多摩市/稲城市/西東京市 |
東京法務局西多摩支局 | 青梅市/福生市/羽村市/あきる野市/西多摩郡 |
なお、遺言書の保管の申請をする際は、本人が実際に出向く必要があります。
本人が出頭できない場合は保管制度は利用できないため、公正証書遺言を活用することになります。
遺言書保管制度に際して注意すること
法務局では、遺言書の書き方を教えてくれません、
自筆証書遺言に自信がない方は司法書士や行政書士に相談して書くようにしてください。
自筆証書遺言を書いたら、封筒に入れず、ホチキスでとめず、申請書と本人確認書類と、保管料(3,900円)を用意し、保管法務局に予約して行くことになります。
なお、保管法務局に行く際は事前に予約が必要です。
自筆証書遺言がいいか公正証書がいいか?
遺言者によって、考えが異なるかもしれませんが、ガチッとこれ以上変えないという強い意思がある場合は、公正証書遺言のほうが安心です。
改竄されるリスクも低いですし、公証役場で遺言を保管してくれるのでなくす心配はありません。
今後は自筆証書遺言でも保管制度が導入されるため、どれだけ利用されるのかは注目していきたいところです。
まとめ
7月10日から始まる「法務局における自筆証書遺言書保管制度」
郵送での保管申出ができないため、利用者がどれだけになるか興味を持とうと思います。
今回は
『自筆証書遺言 法務局における自筆証書遺言保管制度について』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
自筆証書遺言に関する改正点についてはこちらを御覧ください。
参考書籍
家族を「争族」から守った遺言書 30文例 Part2 | ||||
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遺言条項例300&ケース別文例集改訂 | ||||
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