司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律の施行期日が決定!改正内容は?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
今回のお話は、自分の仕事である司法書士法の一部を改正する法律について。
司法書士業務の環境を取り巻く状況が大きく変化してきている中で、業務範囲の拡大や活動範囲の広域化に伴い、時代に合わせる必要が出てきました。
そこで司法書士法の一部を改正することになり、その施行日が決まりましたので、紹介します。
同日、土地家屋調査士法の一部も改正になりますが、概要は司法書士の場合とほぼ一緒なので、今回は司法書士の改正法のことを紹介します。
司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律の施行期日が決定!
業務範囲の拡大や活動範囲の広域化に伴い出てきた課題は?
今回の司法書士法の改正にあたり、出てきた課題が3つあります。
- 専門家としての使命を明確にする必要性
- 現状に即して、懲戒手続をより合理化にする必要
- 一人法人を認めることによる多様なニーズへの対応
これらを勘案して、今回の法律改正が行われます。
改正点1 使命の明確化
弁護士などは使命規定をもとに業務を行っております。
この度、司法書士も専門家として使命を明らかにする規定を設けることになりました。
司法書士法に則り、専門家としてお客様のニーズに答えながら、使命を全うする必要が出てきます。
より責任が重くなる規定だという気がして、身の引き締まる思いがします。
司法書士法第1条はタイトルが「目的」から「司法書士の使命」と変わります。
(司法書士の使命)
第1条司法書士は、この法律の定めるところによりその業務をする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家とし、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。
現行第1条の目的規定と異なり、司法書士業務の法律事務の専門家という部分と、使命規定が入るところが大きいです。
改正点2 懲戒手続の適正・合理化
ここは一般の方はあまり関係のないところではありますが、内容は大きく変わる部分です。
まず懲戒権者が「法務局又は地方法務局の長」から「法務大臣」に変更されます。
懲戒事案は多様さがあり、一元的な指揮のもとで、より適正・迅速な懲戒をするために「法務大臣」に変わります・
結構大きい改正の一つとして除斥期間が設けられます。
今までは除斥期間がなかったため、古い事案でも懲戒対象となり、資料なり記憶が曖昧なまま懲戒になるということもありました。
あった例としては、10年前の事例をもとに懲戒処分がされていたというのがあります。
今後は懲戒事由の発生から7年経過後は、懲戒手続を開始しない制度にすることになり、司法書士にとっても負担が軽減されます。
その他にも、戒告処分における聴聞を保障することや、懲戒手続中に清算が終了した法人への懲戒処分を可能にすることなどが改正点です。
改正点3 一人法人の可能化
今までは、司法書士法人は2名以上いないと設立できませんでした。
これからのニーズに対応するため、司法書士法人は1名でも設立することができるようになります。
これについては、問題点も指摘され、当該司法書士になにかあった場合の引き継ぎとかどうなるかとか、課題は多くあるとされています。
ただ、ひとり株式会社みたいなことが司法書士法人でもできるようになるというのは大きな改正といえるでしょう。
まとめ(施行時期も含めて)
今回の司法書士法及び土地家屋調査士法の改正は使命規定が入ったり懲戒手続の合理化、一人法人を認めるなど、かなり大きな改正といえます。
自分も使命規定に則り、依頼者のサポートに徹していく所存です。
なお、法律の施行時期は2020年8月1日です。
今回は以下の法務省の資料をもとに作成しました。
司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律の概要(法務省民事局作成)
今回は
『司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律の施行期日が決定!改正内容は?』
に関する内容でした。
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