東京都江戸川区葛西駅前 会社設立などの企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
2018年11月号の月報司法書士の67ページに「インターネットバンキングの取引明細と払込証明書」のことが記載されていました。
今の御時世、通帳を一切発行しないネット銀行の口座を持っている方も多いでしょう。
果たして通帳がないと会社設立登記はできないのでしょうか?
ネット銀行での出資金の払込みはできるのか?
そもそも「払込みがあったことを証する書面」とは?
発起人は定款認証後、発起人の代表口座に決められた出資金を払い込む必要があります。
発起人1人の場合は、一度出資金を出金し、再度入金する必要があります。
その入金・振込した部分と通帳の表紙の部分をコピーし、出資があったことを設立時代表取締役が証明した書面が「払込みがあったことを証する書面」となります。
払込みがあったことを証する書面は数葉に渡るため、会社実印で割印する必要があります。
ネット銀行を払込取扱機関としていいのか?
本来であれば通帳が発行されている発起人口座に出資金を入れておくのが原則です。
しかし、昨今楽天銀行やジャパンネット銀行など通帳が発行されないいわゆるネット銀行も普及してきています。
そこでネット銀行でも払込取扱機関とすることができるかが問題となります。
結論はネット銀行でも払込取扱機関とすることができます。
通帳が発行されないネット銀行でどのように「払込みがあったことを証する書面」を用意すればいいのでしょうか。
ネット銀行の場合、インターネット上に通帳の取引明細と同じようなものがでてきます。
まずは入金や振込があった部分をプリントアウトしたものが「払込みがあったことを証する書面」の一部となります。
あと、金融機関の名称と支店名、口座名義人の氏名(口座番号も)のところもプリントアウトして合綴すれば「払込みがあったことを証する書面」となります。
ネット銀行によって、一ページに銀行名や口座名義人、取引履歴が記載されていれば、そこをプリントアウトすればいいですが、全てのページに記載されていないネット銀行もあります。
そのような場合は、取引履歴が記載されている画面に至る間に、銀行名や支店名、口座名義人が記載されていればそのページをプリントアウトし、取引履歴の画面をプリントアウトしたものを合綴することも考えられます。
ネットバンキングサービスが提供されている銀行でも通帳の代わりができるか?
通帳が発行されている銀行でも、インターネットバンキングを利用している場合、その取引履歴の画面をプリントアウトして、「払込みがあったことを証する書面」とすることができるか?
結論は、上記扱いも可能とされています。
さらに通帳の表紙や一枚目の見開きのページとインターネット上の取引明細のページを合綴したものを「払込みがあったことを証する書面」として利用することも可能です。
まとめ
通帳が発行されていないネット銀行でも払込取扱機関とすることができるということをまずは押さえておいてください。
また、ネットバンキングでも該当ページをプリントアウトして合綴すれば「払込みがあったことを証する書面」の一部となることも合わせて覚えておくといいでしょう。
今回は
『ひとり会社の設立 ネット銀行で出資金の払込はできるのか?インターネットバンキングの扱いは?』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
ひとり株式会社の設立に際して、定款認証のやり方が変わります。詳しくはこちらのブログを御覧ください。
参考書籍
事例で学ぶ会社法実務〔全訂版〕
金子 登志雄,立花 宏,幸先 裕明 中央経済社 2018-04-18
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