役員変更登記 登記を失念していたときの手続きはどうするか?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
中小零細企業の役員変更登記。
意外と問題なのは、選任懈怠のまま来てしまい、慌てて役員変更登記をする場合。
そのときに登記の日付や原因はどうすればいいのかを書きました。
今回は非公開会社で非取締役会設置会社を想定しています。
また、継続会開催とかは視野に入れず、一般的な起こりやすい例で紹介します。
役員変更登記 登記を失念していたときの手続きはどうするか?
定時株主総会は毎年開催しなければならない
経営者のあなたが必ず押さえてほしいところは、定時株主総会は毎年開催しなければならないこと。
定時株主総会で、計算書類が承認され、法人税の申告ができるようになります。
あわせて、昨年実績をもとに役員報酬を変えたりするので、定時株主総会は株式会社を設立した方は重要なものになります。
ひとり会社であれば、計算書類ができたら速やかに承認決議をして税務署に法人税申告することをおすすめします。
なので、定時株主総会は毎年開催しなければなりません。
役員の任期が満了した場合の対処法
役員の登記を忘れた場合の考え方は3つあります。
2 定時株主総会で役員改選決議をせずに、任期が満了したのを後日気づいた場合
3 定時株主総会を開催しないで、後日役員改選のことに気づいた場合
1と2と3で退任時期や就任の登記の日付が異なってきます。
1の場合は登記懈怠に当たる場合で、2・3は選任懈怠に当たる場合です。
いずれも過料の対象になるので早めに対応しなければなりません。
では、同じ人が再任する場合、どのように登記をすればいいのかを書きます。
1の場合は、定時株主総会をもって任期が満了して、その日に就任しているため、登記の日付及び原因は、「年月日(=定時株主総会開催の日)重任」となります。
2の場合は、定時株主総会は開催しているが、役員選任を怠って、後日臨時株主総会で選任している例です。
この場合は「重任」は使うことができず「年月日(=定時株主総会の日)退任」「年月日(=臨時株主総会の日)就任」となります。
3の場合は、定時株主総会を開催していないため、定款で定時株主総会の開催時期について定めがあれば、その末日で任期が切れます。
大体の会社で3ヶ月以内に定時株主総会を開催する旨の定款の規定があります。
この場合も2同様「重任」は使うことができず「年月日退任(=日付は事業年度から3ヶ月経過した末日)」「年月日就任(=臨時株主総会の日)」となります。
3月決算の会社の場合で定款に事業年度の末日から3ヶ月以内に開催すると条項があった場合は「令和2年6月30日退任」の振合になります。
注意なのは、「退任」「就任」としても、同じ役員がなっていることは登記簿からは見て取れますが、退任と就任の間が空白なので、その期間本当に役員だったのか、登記簿からは分かりません。
一応権利義務取締役としては機能していますが、許認可の申請だと連続性がないということで算入できないとも捉えられる傾向にあるようです。
2・3の場合の選任懈怠の場合、役員の勤務日数で影響が出る可能性があるので注意してください。
添付書面で変わることはあるか?
登記懈怠でも選任懈怠でも、基本は同じで
- 株主総会議事録
- 代表取締役を選ぶのであれば定款に定めた方法に従って株主総会議事録もしくは取締役の互選書
- 就任承諾書
- 株主リスト
- 定款(代表取締役を取締役の互選で選ぶ場合)
となります。
同一人物が再任される場合は就任承諾書に押印する印鑑につき、実印押印や印鑑証明書は不要です。
ただし、就任承諾書には住所を記載してください。
まとめ
まずは自分の会社の定款を確認し、任期がどれだけなのかを確認してください。
もし、登記忘れや選任懈怠があれば速やかに対応してください。
今回は
『役員変更登記 登記を失念していたときの手続きはどうするか?』
に関する内容でした。
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