新型コロナウイルスの影響で遺言作成した 遺言ビデオは有効なのか?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
新型コロナウイルスの影響で、自分が感染してしまい、遺言の準備をした。
そんな記事がヤフーニュースで紹介されていました。
男性は救急車で搬送され入院。PCR検査の結果、陽性と判明しました。悪化する病状に、死を覚悟した男性は“遺言ビデオ”も準備したといいます。
この記事中、気になる部分がありましたので、「遺言」と絡めて紹介していきます。
新型コロナウイルスの影響で遺言作成したい 気をつけないといけないことは?
遺言ビデオは効力があるのか?
記事途中にこんな内容がありました。
男性は救急車で搬送され入院。PCR検査の結果、陽性と判明しました。悪化する病状に、死を覚悟した男性は“遺言ビデオ”も準備したといいます。(上記記事より抜粋)
「遺言ビデオ」、日本の法律で遺言として効力があるのでしょうか。
答えは法律上効力はありません。
遺言の方式は、民法に定められた方式に基づかなければいけないからです。
日本の場合は、普通方式の遺言として、以下のものがあります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
自分で「書く」ということが重要で、「映像で残す」という遺言は現状では効果はありません。
遺言を残したい場合はどうすればいいか?
現状、コロナウイルスにかかってしまって悪化している場合、対応として、自筆証書遺言しか対応はできないと思われます。
公正証書遺言で公証人があなたのところに出張してくれることもありますが、この状況だと難しいと言えます。
なので、もし陽性で隔離されている状況で遺言を作成したいのであれば、自筆証書遺言しかできないと思われます。
自筆証書遺言の場合は法律の要件に従って書かなければ効力が生じないことに注意が必要です。
要件をざっくりまとめておくと、以下のとおりです。
- 自筆であること
- 遺言を書いた日付を記載していること
- 押印が必要(指印でも可)
用紙などの要件はありませんが、遺言書を書く際には消えないもので書く必要があります。
もし下記間違えた場合、民法に基づく方法で訂正しないといけないため注意が必要です。(訂正方法については民法968条3項)
原則はすべて自筆である必要がありますが、財産目録については自筆でなくてもいいという扱いになります。
不動産の登記事項証明書や預貯金通帳の写しでも可能となります。
ただ、財産目録に遺言者の署名押印が必要で、数ページに渡る場合は、各ページに署名押印が必要です。
両面の場合は、両面に署名押印が必要ですので注意してください。
「遺言ビデオ」は付言事項として…
法的効力はない部分を「付言事項」として、どうしてこの内容にしたのかを遺言書に記載することがあります。
「遺言ビデオ」は法的効力はありませんが、メッセージとして残す価値はあります。
自筆証書遺言とともに用意しておけばよろしいでしょう。
まとめ
新型コロナウイルスの影響で遺言を書く方も増える可能性があります。
なにをどう承継させたいのか、なるべく詳しく書くことがあとあと残された方が揉めないことになります。
「付言事項」が重要な要素になることを確認してください。
今回は
『新型コロナウイルスの影響で遺言作成したい 気をつけないといけないことは?』
に関する内容でした。
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