定時株主総会 株主が少ない場合の開催方法を考える 書面決議の活用
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
今年は、新型コロナウイルスの影響で、物理的に定時株主総会を開催しない中小零細企業が多いかもしれません。
あらかじめ、決議内容が決まっていて、株主も知っている方の場合は、株主総会の決議等の省略(みなし総会)で行う方法も考えられます。
要件はなにかも含め解説します。
定時株主総会 株主が少ない場合の開催方法を考える
株主全員の同意が取れる場合に採用できる方法
今年は議案が少なく、決算書類の承認など、株主全員からの同意が取りやすい案件の場合、採用できる方法があります。
それが、いわゆる会社法第319条のみなし総会(書面決議)と言われるものです。
似ている制度で書面による議決権の行使(書面投票)があります。
書面投票を採用する会社は、実際に株主総会そのものを開催する必要があり、上場会社とか株主が1,000名以上いる会社は書面投票を原則として採用しなければなりません。
招集手続の短縮もできず、参考書類や議決権行使書面の交付が義務付けられ、中小零細企業では、なかなか採用するのは難しいと思われます。
後は委任状による方法もありますが、こちらも参考書類等の用意が必要で、中小零細企業ではなかなか難しい側面があります。
書面投票や委任状による方法の場合は、株主総会そのものを開催する必要があり、書面決議では株主総会は開催しなくていいというのと区別しなければならないことを押さえておいてください。
書面決議ができるのは株主全員の同意があること
株主総会の決議事項について、株主全員の同意があってはじめて、株主総会のみなし総会の制度が使えます。
なので、大勢株主がいるとか、所在不明の株主が存在する場合にはこの制度が使えません。
取締役もしくは株主が議案を提案し、株主全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときに、当該議案を可決する株主総会決議があったものとみなすのが、みなし総会の制度です。
まず、株主全員の同意が必要であるので、株主名簿の整備から始めることをおすすめします。
その中に所在不明の株主(いわゆる名義株主)がいるようであれば、みなし総会の制度は使えませんので、何らかの対応を取らないといけません。
ひとりでも、所在不明の株主がいると、実際に株主総会を開催することになります。
その上で、株主が全員判明できたら、提案内容が株主全員の同意が取れるかどうかになります。
株主と会社間で特段紛争がなけれは、みなし総会の手続きは使えると思われます。
書面決議をしても議事録作成は必要
提案書と同意書は当然会社に保管するものとして、総会を実際に開いていなくても、議事録の作成は必要となります。
そして、提案内容に登記事項が発生していれば、当然登記申請しなければならず、みなし総会の議事録が必要です。
その時は提案書や株主全員の同意書は添付する必要はありませんが、株主リストの添付は必要なので注意してください。
まとめ
このご時世で今回はみなし総会(書面決議)で開催しようとする会社が多くなると思います。
みなし総会であっても議事録作成は必要で、登記の添付書面にもなることを覚えておいてください。
今回は
『定時株主総会 株主が少ない場合の開催方法を考える 書面決議の活用』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
小さな会社の企業法務に関するブログはこちらから
新型コロナウイルスと定時株主総会開催の影響とは?(中小零細企業を中心に)[小さな会社の企業法務] | 司法書士行政書士きりがやブログ(きりログ)
参考書籍
会社法 第2版 | ||||
|
議事録作成の実務と実践 | ||||
|