取締役の員数 定款の記載に注意しないと・・・
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
取締役の員数。
昨日のブログ「取締役の資格」と並び、意外にも見落としがちな定款の条項。
この条項にも注意しないと、定款違反になってしまうことも。
今回は取締役の員数について触れます。
取締役の員数 定款の記載に注意しないと・・・
最低限必要な取締役の員数は?
まずは取締役は株式会社では絶対に必要な機関です。
非取締役会設置会社の場合、取締役の員数は1名以上必要です。
一方、取締役会設置会社の場合は、取締役の員数は最低でも3名必要です。
上限に制限はありませんが、公開会社で規模の大きい会社となると、買収防衛策など様々な観点から上限を設けることが多いです。
以下、非取締役会設置会社の取締役の員数の条項について注意すべきことを書きます。
定款ではどのような条項になるのか(非取締役会設置会社の場合)
非取締役会設置会社の場合、実務上最も多い取締役の員数の定款の規定は、以下のとおりです。
(一般例1)
(取締役の員数)
第◯条 当会社の取締役は、1名以上とする
(一般例2)
(取締役の員数)
第◯条 当会社の取締役は、3名とする。
(一般例3)
(取締役の員数)
第◯条 当会社の取締役は、2名以上5名以内とする。
一般例1は、非取締役会設置会社の場合、取締役は1名以上いるのは当たり前なので、確認的意味に過ぎません。
別に条項に盛り込まなくても大丈夫ですし、条項に入れない場合は、株主総会で適宜の人数を決めれば大丈夫です。
一般例2は、「取締役を3名置く」との趣旨なので、必ず取締役を3名置かないといけません。
一人でも取締役を欠くと選任懈怠の問題が生じます。
また3名のうち1名辞任したくても辞任できず取締役の権利義務状態が発生します。
なので「3名」と固定するのではなく、「3名以内」もしくは「3名以下」とするなど幅をもたせる規定にすべきです。
また、取締役の員数を4名にしたい場合は、定款変更決議が必要になるので注意してください。
一般例3はやや規模の大きい中小零細企業の場合です。
ある程度の取締役が必要な場合は幅をもたせて取締役の員数を規定することはありです。
ただ、一般例2で指摘した取締役の員数を欠いた場合や取締役がさらに増えた場合は定款変更が必要です。
将来的に規模を大きくしたい場合、会社の実情に合わせて上限は定めておくのもありです。
まとめ
非取締役会設置会社の場合は取締役の員数は1名以上入れば問題ありません。
なので、ひとり会社の設立の場合、あえて取締役の員数を定款に盛り込むことはしなくてもいいです。
シンプルがいいときもあるので・・・
今回は
『取締役の員数 定款の記載に注意しないと・・・[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。
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