東京都江戸川区「会社の誕生、相続のつながり。登記の一つ一つに、私たちとの絆を二人三脚で!」 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
株式会社を設立して、登記をずっとしないでいたら、法務局から「事業継続しているのか 何もしないとみなし解散する」旨の通知が届いてしまった。
まだ事業しているのに・・・
なぜ、そのような通知が来てしまったのか。
令和5年も「休眠会社等の整理作業(みなし解散)」の通知が発送されました。
いきなり「みなし解散」の通知書が来てびっくりしている会社もあるでしょう。
まだ事業を継続しているのであれば、どのような対処をすればいいのを紹介します。
なぜ「株式会社等の休眠会社・一般休眠法人の整理作業」を行うのか?
法務省のホームページによると、株式会社など休眠会社の整理作業をする必要があるのは以下の理由によるものです。
会社を放置すると,
(1)事業を廃止し,実体を失った会社がいつまでも登記上公示されたままとなるため,登記の信頼を失いかねないこと,
(2)休眠会社を売買するなどして,犯罪の手段とされかねないこと
等の問題があることから,平成26年度以降,毎年,休眠会社の整理作業を実施することとされたものです
(法務省:休眠会社・休眠一般法人の整理作業について)
つまり、放置してある会社をずっと残しておくのは、犯罪の温床につながり、まずいということが背景にあります。
現在は会社設立は簡単にできていますが、結局は事業がうまく行かなくなり、放置している会社も多くあります。
今後は会社設立も知識もなく簡単にできると謳っているところもあることから、設立件数も増える反面、機能していない法人も増えます。
だいたい、生き残る会社は3年で半分くらいと言われていますので・・・
実際に法務省によると今まで、休眠会社などの整理を行った会社数は以下のとおりです。
平成26年以降、オンライン化が進み、毎年行われていますが、休眠会社の整理作業をおこなった株式会社・一般社団法人は増えています。
解散したものとみなされた |
解散したものとみなされた 一般社団法人及び一般財団法人数 |
|
第6回(平成26年) | 78,979 | 478 |
第7回(平成27年) | 15,982 | 645 |
第8回(平成28年) | 16,223 | 734 |
第9回(平成29年) | 18,146 | 992 |
第10回(平成30年) | 24,720 | 1,208 |
第11回(令和元年) | 32,711 | 1,366 |
第12回(令和2年) | 31,516 | 1,487 |
第13回(令和3年) | 29,605 | 1,662 |
第14回(令和4年) | 28,615 | 1,798 |
(表は、法務省:休眠会社・休眠一般法人の整理作業について より抜粋しました)
休眠整理作業によって令和3年までに休眠会社については約65万社が解散したものとみなされました。
令和5年度も10月12日、みなし解散の公告がされました。
休眠会社の通知が来たら、すぐにしなければならないこと 役員変更登記
法務局から通知の封筒が来たら要注意です。
「みなし解散」の通知を結構見落としている会社も多いのが現状です。
休眠会社の通知が来たら、実際に事業をしている場合は、すぐに事業を継続していることを法務局に届出します。
しかし、通知を出せばそれでいいということにはなりません。
実際に遅れている登記(ほとんどが役員変更登記)を申請しなければなりません。
登記をしないで、事業を継続している旨の通知を出しても、来年またみなし解散の通知が来てしまいます。
通知が来て、すぐにやらないといけない登記は「役員変更登記」です。
以前のブログでも書きましたが、役員が同じ人であれば、役員変更登記をしなくていいと思っている経営者が多いです。
しかし、任期が満了したらその地点で退任し、新たに株主総会で取締役を選任しなければなりません。
そして同じ人であっても役員変更登記をする必要があるのです。
なお、法務局に通知を出すと、過料の通知もくるようなのであわせて注意してください。
任期がすでに切れている取締役の役員変更登記の手続は?
大体のコンパクト株式会社は定時株主総会を開いていないし、役員選任決議もしていません。
本来はコンプライアンスの観点からまずいですが・・・
これからは、税務署に確定申告を出す前に、書面決議でもいいので株主総会を開催しましょう。
脱線してしまいましたが、定時株主総会は、事業年度終了後3ヶ月以内に行われるので、もし定時株主総会が3ヶ月以内にしていなければ、その末日をもって、取締役の任期が切れます。
例えば3月決算の場合は定時株主総会の最終日が6月30日のため、任期が満了して、定時株主総会を開いていないというのであれば、任期満了日は6月30日となります。
そして、その後、臨時株主総会を開催して、取締役を選任したら、その日をもって就任日となります。
つまり、任期が切れても、新たに取締役を選任するまでは、ずっと取締役の地位を維持することとなり、取締役の責任をまっとうする必要があるのです。
それがずっと続くのはまずいので、同じ人であっても役員選任決議をした上で役員変更登記をする必要があるのです。
登記事項は「退任」「就任」の振合で記載し、同じ人であっても「重任」にはならないので注意してください。
なお、許認可が絡むような場合、「退任」「就任」と登記すると、空白期間は役職についていなかった扱いをされてしまうリスクもありますので、注意が必要です。
まとめ(今日の気づき)
とにかく「みなし解散」の通知が来てしまったらかなりやばい状況にあることを認識する。
法務局に「事業を継続している旨」の通知を出して、あわせて役員変更登記を申請する。
みなし解散の通知が来たら司法書士に相談するほうが手っ取り早い
今回は
『まさかの『みなし解散』!経営者必見、対策の全手順 江戸川区船堀の司法書士が徹底解説』
に関する内容でした。
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参考書籍
今回のブログを作成するに際しては、下記の書籍を参考にしました。