東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
募集株式の発行に際して、引受人が1人の場合は総数引受契約で行うことが多いです。
実際に私も引受人が一人の場合は総数引受契約で募集株式の発行手続きを行います。
しかし、小さな会社の企業法務で募集株式の発行手続きを総数引受契約で行うときには注意が必要です。
特に取締役会設置会社の場合は手続も登記申請にも注意が必要です。
今回は小さな会社の企業法務での募集株式の発行についての注意点を書きます。
募集株式発行の総数引受契約 取締役会設置会社は要注意!小さな会社の企業法務
本来の募集株式の発行の手続と総数引受契約での手続の違い
募集株式の発行の流れについては以下のとおりです。
募集決議
↓
申込み
↓
割当て
↓
引受け
↓
払込み
申込みに対する会社の承諾、つまり「割当て」については、定款に別段の定めが無い限り株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)の承認が必要です。
これは、小さな会社の場合、全ての株式が譲渡制限株式であるため、会社の好まない人の参入を拒否するため、譲渡制限株主の持株比率の保護する必要があるからです。
ところが、総数引受契約は申込みと承諾でできてしまい、割当てに関する決議が排除されます。
総数引受契約を承認するために決議が必要になった
平成27年5月改正前は、総数引受契約については、割当てに関する決議は排除されていました。
そうなると、募集株式の発行の決議はするけれども、誰に何株割り当てるのか総数引受契約だと分からない状態になりました。
持株比率や参入者が誰になるか分からない状況での総数引受契約は株主にとって不都合になることが指摘されていました。
そこで、募集株式を総数引受契約で行う場合「総数引受契約」に関する承認を株主総会(取締役会設置会社であれば取締役会)で行わなければならなくなりました。
取締役会設置会社は要注意!小さな会社の企業法務で登記実務に与える影響は?
小さな会社の企業法務で取締役会非設置会社の場合、募集株式の発行決議は株主総会で行うので、それに合わせて総数引受契約も株主総会で承認すれば何も問題ありません。
問題は取締役会設置会社の場合。
総数引受契約については定款に別段の定めがない場合、取締役会で総数引受契約の承認決議を行う必要があります。
つまり、取締役会設置会社で募集株式の発行を総数引受契約で行う場合は、登記申請の際、株主総会議事録と取締役会議事録が必要になります。
なお、総数引受契約について定款で株主総会で行うとあれば株主総会で承認決議ができますが、登記申請の際、定款の添付が必要です。
それを回避できる方法はありますが、その方法は「参考書籍」に詳しく紹介してあるので、こちらを参考にしてください。
まとめ
・譲渡制限株式の募集株式の発行の際、総数引受契約をする場合は、総数引受契約の承認について原則株主総会もしくは取締役会決議が必要
・取締役会設置会社の場合は、募集株式の発行を総数引受契約で行う場合は添付書類が増える
今回は
『募集株式発行の総数引受契約 取締役設置会社は要注意!小さな会社の企業法務』
に関する内容でした。
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