東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
役員変更の任期。
非公開会社は取締役・監査役・会計参与(以下「取締役等」といいます。)の任期が最大で就任後10年内に終了する定時株主総会の終結の時までにすることができます。
もし、あなたの会社の取締役等の任期を伸長した場合、逆に短縮した場合、役員変更登記するときにどこに注意すればいいのでしょうか?
役員の任期を伸長した場合の注意点は?
取締役等の任期満了時に任期を伸長する定款変更をした場合
定款で役員の任期を伸長した場合、注意するのは、いつの地点が起算点となるのか?
ひとつ目の方法は、任期満了と同時に取締役等が就任し、合わせて任期を伸長する定款変更決議をすれば、このときから任期が伸長されます。
ただし任期が満了し、役員を選任せずに定款で任期を伸長しただけにした場合は、任期の起算点は、定款変更決議のときではなく、その取締役等が選任されたときとなります。
具体的に、任期が2年内の定時株主総会終結のときまでとする、取締役が2名の株式会社があるとします。
2016年に2名とも選任決議がされ、2018年の定時株主総会が到来した際、ここで取締役2名の任期が満了します。
ここで2名の取締役を再任決議をした上で、定款変更で任期を10年にした場合、2名の取締役の任期満了時は2028年の定時株主総会終結の時までとなります。
この場合は当然役員変更登記は必要です。
もう一つの方法は、任期満了するけれども、敢えて役員変更決議をせず、任期を10年にする定款変更決議を承認することもできます。
この場合は役員変更登記は不要でコストを抑えることできます。
しかし、任期の起算点は、定款変更決議のとき(2018年)ではなく、取締役選任時(2016年)のときです。
なので、任期が満了するのは2026年であって、2028年ではありません。
これを数え間違えてしまうと、選任懈怠・登記懈怠となってしまい、過料の対象になります。
役員の任期の途中で定款変更決議で任期を伸長する場合
役員の任期の満了は当分先で、とりあえず任期伸長の定款変更決議だけやってしまう方法です。
その場合の人気の起算点は定款変更のときではなく、役員選任のときとなりますので、注意してください。
つまり、定款変更時の伸長した任期と選任時の任期を引いた分だけ、役員の任期が伸びることになります。
役員の任期を短縮した場合の注意点は?
役員の任期を短縮する場合、その地点で任期が切れていたら、任期満了となります。
例えば、2010年に定時株主総会で任期10年として選任された役員が、2018年の定時株主総会で任期を5年に短縮する定款変更を行った場合は、定款変更決議を承認した時点で任期が切れます。
同じ人が引き続き役員をする場合は、再度役員改選手続きを行う必要があります。
あとは、決算期を短縮する定款変更決議をした場合、通常の任期より短くなりますので、こちらも注意が必要です。
さらには、非公開会社から公開会社になった場合も任期満了で退任しないといけない場合がありますので注意してください。
まとめ
役員の任期を伸長したり、短縮したりする場合は、まずは選任の起算点がどこになるかを確認してください。
起算点を間違えてしまうと役員の決議や任期、登記にも影響が出てしまいます。
今回は
『小さな会社の企業法務 役員変更の任期 伸長した場合と短縮した場合で注意することは?』
に関する内容でした。
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参考書籍
商業登記ハンドブック第3版
松井信憲 商事法務 2015年05月20日
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