東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
今回の内容は久々に不動産登記の実務日記。
売買を原因とする所有権移転登記や抵当権設定登記には登記原因証明情報を添付する必要があります。
こちらには不動産の表示を記載する必要がありますが、すべての内容を記載しなければならないのでしょうか?
あわせて、登記原因証明情報は誰が署名押印・記名押印しなければならないのかも解説します。
不動産登記実務日記 登記原因証明情報の不動産の表示はすべて記載しなければいけないのか?
登記原因証明情報とは何か?
登記原因証明情報とは、登記原因がどのような経緯で起きたのかを記載した書面。
登記原因の要件事実を記載する必要があります。
登記原因証明情報の主なものとしては、金融機関が作成した「解除証書」や「抵当権設定契約」のほか、司法書士が作成することもあります。
例えば売買による所有権移転登記の場合は、不動産を売買した日、所有権移転登記の特約が売買契約書に記載してあればその旨などを記載します。
つまり契約書の内容から登記原因証明情報を作成する必要があるのです。
登記原因証明情報の署名押印・記名押印者は誰か?
登記することによって権利をなくしてしまう登記義務者は、登記原因に間違いないとして押印義務があります。
問題は登記権利者が捺印するか。
登記権利者は基本は押印義務がないとされています。
例えば金融機関が弁済などで抵当権を抹消する場合の「弁済証書」なり「解除証書」には義務者の銀行印は押印されていますが、権利者の所有者の印鑑は押印されません。
ただし、共同申請でお互い登記原因、登記の事実の概要に間違いないことを示すため、登記権利者・義務者とも捺印することもあります。
不動産の表示は申請書の内容どおりに記載しなければならないのか?
登記原因証明情報には、不動産の表示が記載していなければなりません。
登記原因証明情報から登記申請書が作成できる内容でなければならないからです。
そこで不動産の表示を申請書通りに記載しなければならないかが問題となります。
結論は、登記申請書通りに記載しなくても登記申請は受理されます。
たとえば
「江戸川区江戸川一丁目1番 宅地 10平方メートル」
のように書いても、単に
「江戸川区江戸川一丁目1番 の土地」
のように書いても大丈夫のようです。
これは、不動産が特定されているからわざわざ内容まで書かなくても登記簿を見ればわかるからだと思われます。
ただ、多くの登記原因証明情報を見ていると登記申請書のように詳細に記載されている気がします。
まとめ
登記原因証明情報についての不動産の表示についてまとめてみました。
なお、いわゆる登記原因証明情報をPDFで添付し、登記申請書の内容をオンラインで行ういわゆる半ライン申請の場合、登記原因証明情報の記載内容に間違いがあると、それだけで却下されてしまいます。
今回は
『不動産登記実務日記 登記原因証明情報の不動産の表示はすべて記載しなければならないのか?』
に関する内容でした。
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参考書籍
元登記官からみた登記原因証明情報-文例と実務解説-
青木 登 新日本法規出版 2017-06-23
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