不動産登記 登記識別情報通知はどのように交付され、何に使うのか?

東京都江戸川区「6回目でやっと司法書士試験に合格した「相続・商業登記を軸とした中小企業支援業務」の専門家」「登記業務を通じてお客様に寄り添う」 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

あなたは「登記識別情報通知」についてご存知ですか?

よくお客様には「権利証の代わり」になるとお話しています。

しかし、以前の権利証をお持ちの方は「登記識別情報通知」だといまいちピンと来ない方もいるでしょう。

今回は登記識別情報通知について書きます。

登記識別情報通知とは何か?

そもそも「登記識別情報通知」とはどんなものなのでしょうか?

まずは、条文で確認していきましょう。

不動産登記法第21条で次のように規定されています。

(登記識別情報の通知)

第21条
登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合その他の法務省令で定める場合は、この限りでない。

登記識別情報通知は、「あなたが所有者や抵当権者ですよ」ということを示すものです。

実務では、登記識別情報通知という書面が登記完了時に交付されます。

実は、登記識別情報通知という書面が大事なのではなく、封印されている12桁の英数字が重要です。

なので、登記が完了し、識別情報通知が交付されても、次の登記に使用するまではそのまま開封せずに管理してください。

なお、不動産登記法21条但書で、登記識別情報通知を自分で管理したくないから、通知を希望しない旨の申し出をすることはできますが、実務ではほとんど利用していません。

登記識別情報通知はどのような場合に提供する必要があるのか?

登記識別情報通知を交付されたあと、後日登記申請をする際に、登記識別情報通知の提供が必要な登記があります。

どのような場合に登記識別情報通知を提供する必要があるのか、不動産登記法第22条で規定されています。

(登記識別情報の提供)

第22条
登記権利者及び登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合その他登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者(政令で定める登記の申請にあっては、登記名義人。次条第1項、第2項及び第4項各号において同じ。)の登記識別情報を提供しなければならない。ただし、前条ただし書の規定により登記識別情報が通知されなかった場合その他の申請人が登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合は、この限りでない。

あなたが当該不動産を売却する場合は、住宅ローンの借り換えのために抵当権を設定する場合に登記識別情報通知を提供する必要があります。

なお、相続登記を申請する場合は、登記識別情報通知を提供する必要はありません。

いずれにしても、登記識別情報通知が交付されたら厳重に管理してください。

登記名義人でも登記識別情報通知が交付されないこともある?

不動産登記法第21条で申請人自らが登記名義人であれば登記識別情報通知が交付されます。

しかし、登記名義人であっても申請人でなければ登記識別情報通知は交付されません。

どういう場合に該当するのでしょうか?

具体的には、

・所有権保存登記や相続を原因とする所有権移転登記で共有名義になる場合
・共有者の一方のみが登記申請人になって登記申請をする

場合です。

その時、登記申請をした当事者は登記識別情報通知が交付されます。

しかし、登記名義人にはなるが登記申請をしなかった者は登記識別情報通知は交付されません。

所有権保存登記や相続を原因とする所有権移転登記で共有名義となる場合は、極力両方とも登記申請人になるべきです。

実務でも、共有者の片方だけで登記申請をすることは稀です。

登記識別情報通知が交付されないと、司法書士もしくは公証人の本人確認情報の提供もしくは事前通知で登記手続きをする必要があり、後々面倒になるからです。

まとめ

登記識別情報通知について書きました。

登記識別情報通知が交付されたら、何もせず金庫等に厳重に保管するようにしてください。

結構紛失する方もいらっしゃるので・・・

なお、登記識別情報通知を紛失したら再発行できませんのでご注意ください。

今回は
『不動産登記 登記識別情報通知はどのように交付され、何に使うのか?』
に関する内容でした。

あわせて読みたい

登記識別情報通知を扮してしまった場合、どうすればいいか?今回のブログとあわせ、以下のブログも御覧ください。

参考書籍

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この記事を書いた人

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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