東京都江戸川区葛西駅前 会社設立などの企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
株式会社設立の時、発起人は金銭を出資しなければなりません。
そして出資した対価として株式を交付します。
ところで、登記事項証明書に「発行可能株式総数」と「発行済株式総数」が記載されていますが、どんな関係があるかご存知ですか?
発行可能株式総数と発行済株式総数との関係は?
「発行可能株式総数」と「発行済株式総数」とは?
株式会社設立に際して、必ず「発行可能株式総数」と「発行済株式総数」を決めなければなりません。
発行済株式総数とは文字通り、会社が実際に発行した株式数のことをいいます。
資本金の額をいくらにするかをまず決めて、その上で1株あたりの金額を決め、発行済株式総数を確定します。
ひとり株式会社の場合、いきなり種類株式を発行することはほとんどありませんので、単一株式(譲渡制限付株式=普通株式)を発行します。
そして、発行可能株式総数は、会社が自由に発行できる枠のことをいいます。
募集株式発行の際には、発行可能株式総数の枠内までは自由に発行できますが、それを超えて発行するときは、定款変更決議で発行可能株式総数の枠を増やさないといけません。
発行可能株式総数に制限はあるのか?
公開会社(=譲渡制限のついていない株式を発行している会社もしくは一部のみ譲渡制限の付いている会社)については、発行可能株式総数の上限の規制があります。
どういう規制かというと、発行可能株式総数は発行済株式総数の4倍を超えてはならないというものです。
しかし、コンパクトビジネスを展開するひとり株式会社(=すべての株式につき譲渡制限付株式を発行する会社 「非公開会社」)では、発行可能株式総数の上限につき制限はありません。
なので、いくらでも発行可能株式総数を会社設立時に定めることは可能です。
なお、非公開会社から公開会社にする場合、発行可能株式総数が発行済株式総数の4倍を超えていた場合、発行可能株式総数を4倍までに縮減する必要があります。
実際に会社設立時にどのくらいの発行可能株式総数を定めるべきか?
会社設立時に絶対やっていはいけないのは、発行可能株式総数と発行済株式総数を同数にすること。
これをしてしまうと、いざ増資したいときに発行可能株式総数を増やす定款変更決議が必要で、かつ登記もする必要があり、登録免許税もかかります。
なので、発行可能株式総数は、会社を将来どこまで大きくしたいかで決めてください。
ただし、いくら規制がないからといって発行可能株式総数を多く定めすぎてしまうのも問題。
たとえば、発行済株式総数が100株なのに、発行可能株式総数を10万株にすることは全く意味がありません。
あなたの会社の登記簿を見た時、違和感だと感じてしまうリスクがあります。
会社を大きくするから、発行可能株式総数を多くしたほうがいいと思う人もいるかもしれません。
しかし、公開会社にするときに4倍規制の縛りで発行可能株式総数を縮小させないといけないので、かえって面倒です。
なので、会社設立時の発行可能株式総数は発行済株式総数の4倍ないし10倍くらいまでにしておくのが無難でしょう。
まとめ
株式会社設立時に発行可能株式総数をどのくらいにすればいいのか質問を受けるのでまとめてみました。
参考にしていただけると幸いです。
今回は
『ひとり株式会社設立 発行可能株式総数と発行済株式総数との関係は?』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
ひとり株式会社の論点について、株主総会の問題があります。こちらのブログも合わせてご覧下さい。
参考書籍
商業登記ハンドブック〔第3版〕
松井 信憲 商事法務 2015-05-20
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