東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
意外と知らない人が多いのが、取締役の役員報酬の決め方。
知っておくのと知らないのとでは、後日税金で損金にできるかできないかで違いが出てきます。
まずは基礎的なことだけでも理解しておきましょう。
今回はこれから起業するあなたが、役員報酬についてどう決めればいいかという疑問にお答えしていきます。
取締役の役員報酬 どのように決めるのですか?
取締役の役員報酬は勝手に決められるのですか?
「取締役の役員報酬について、取締役だけで勝手に決めていいですか?」
よく経営者や会社設立時のときに起業家から聞かれる質問です。
結論は、役員報酬の総額、つまり会社から支給される役員全員に対する金額は株主総会で決める必要があります。
これは取締役だけで決めてしまうとお手盛りで好きな額を決めることができてしまい、会社に損害を及ぼしてしまうからです。
定款にも、役員報酬については株主総会で定めると条項で決めていることが多いです。
一方、個々の取締役に支払う金額については、株主総会で支払う総額が決まっていれば、取締役の話し合いや取締役会で個々に支給額を決めてしまって構いません。
役員報酬は月ごとに支払額を変えていいのか?
役員報酬は、その月ごとに支払う金額を変えることはできず、毎月同額を支払う必要があります。
さらに、その年の役員報酬額が決まっている場合、その年に役員報酬を増額したり、減額したりすることは原則できません。
なので、会社の実績にあわせて役員報酬は決めていく必要があります。
役員報酬の変更方法はどうすればいいか?
前年の会社実績が良かったり、悪かったりした場合、役員報酬の金額を変えていく必要が出てくるでしょう。
その場合、事業年度開始から3カ月以内で、株主総会の決議で変更することができます。
多くは、役員報酬の変更を定時株主総会で行います。
会社設立時は役員報酬はどのように決めればいいか?
会社設立時については設立後3カ月以内に役員報酬の額を定める必要があります。
ただ、会社設立時に役員報酬を定めるのは実績がない分難しいので、とりあえずは役員報酬は少額にしておき、給与や賞与で調整するのがいいかもしれません。
賞与や役員報酬は届出が必要
役員にも賞与の支払いをすることが認められています。
その場合、会社設立後2カ月以内に税務署に賞与に関する内容を申告する必要があります。
翌期以降は事業年度開始後4カ月以内に税務署に申告する必要があります。
あと、役員報酬が決まったら、社会保険の加入手続きが必要です。
年金事務所にいって社会保険加入の諸手続きをしてください。
さらに役員が居住している市区町村役場にいって、住民税の届出をする必要があります。
まとめ
会社設立時に役員報酬を決める場合、設立後3カ月以内にする必要があることを覚えておくといいでしょう。
そして年金事務所や市区町村役場に行き、所定の手続を行うこともあわせて押さえてください。
役員報酬については、毎月同額である必要があり、株主総会で役員報酬の変更手続きを行うことも覚えておきましょう。
今回は
『取締役の役員報酬 どのように決めるのですか?』
に関する内容でした。
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役員変更登記について書きました。選任懈怠と登記懈怠の違いは?こちらもあわせて御覧ください。
参考書籍
最新起業から1年目までの会社設立の手続きと法律・税金
須田 邦裕,出澤 秀二 日本実業出版社 2012-10-20
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