会社法定款用語 「発行可能株式総数」って何ですか?

東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。

はじめに

以前ブログで、定款に出てくる用語を解説したことがあります。

最近、会社設立の簡素化により定款の位置づけがとても大事になっていると感じています。

そこで再度、定款に記載されている用語のうち、大事なものをあげていきます。

今回は「発行可能株式総数」についてです。

「発行可能株式総数」って何ですか?

発行可能株式総数の定義

発行可能株式総数とは、会社に対して定款で決めた枠内であれば自由に発行しても構わない株式数をいいます。

実務では授権枠をいわれています。

会社設立時、発行可能株式総数を100株、発行済株式の数を10株と定めた場合、残り90株は会社が自由に発行できることを意味しています。

発行可能株式総数は制限があるのか?

株式の全部が譲渡制限株式の会社の場合(いわゆる非公開会社の場合)、発行可能株式総数は自由に定めることが可能です。

私は、設立時会社の規模をどのくらいにしたいか依頼者に確認した上で、発行可能株式総数を定めるようにしています。

資本金の額が100万円で、発行済株式総数が100株で会社設立する際、発行可能株式総数は1,000株にすることが多いです。

しかし、譲渡制限のついていない株式の会社の場合(いわゆる公開会社の場合)、発行可能株式総数は発行済株式の数の4倍を超えてはならないルールがあります

会社がむやみに株式を発行させないための縛りと言っていいでしょう。

また、非公開会社(すべての株式に譲渡制限のがついている会社)から公開会社にする場合は注意が必要です。
発行可能株式総数の数が発行済株式の数の4倍を超えている場合、4倍までに減らすか、募集株式を発行して4倍までにさせるかの選択が必要になります。

発行可能株式総数の枠を増やしたい場合

募集株式を発行し続けて、発行可能株式総数の枠が少なくなった場合、枠を増やすにはどうすればいいか。

この場合は定款変更で発行可能株式総数を増やすことが可能です。
発行可能株式総数の変更は定款変更に当たるので、株主総会の特別決議が必要です

発行可能株式総数の枠の上限については、非公開会社、公開会社で異なりますので、先程書いた上限に注意して枠を決定します。

当然発行可能株式総数は登記事項ですので、変更登記が必要になります。

特例有限会社の場合は発行可能株式総数に注意!

特例有限会社の場合、平成18年以前は発行可能株式総数の概念がありませんでした。

平成18年の会社法施行に伴い株式会社と同じ扱いとなり、発行可能株式総数が登場します。

特例有限会社の場合、発行可能株式総数は発行済株式の数と同じ数が登記されています。

そこで、特例有限会社で募集株式を発行する場合、あわせて発行可能株式総数の数も変更しないといけません
発行可能株式総数と発行済株式の数が同じで枠を増やさない限り株式数を増やせないからです。

まとめ

「発行可能株式総数」の定義から、発行済株式の数人の関連、変更手続きまで紹介しました。

意外と会社設立時に適当に決めている方も多いですが、会社の実情に合わせ発行可能株式総数を決める必要があります。

枠が少なすぎると、すぐに定款変更して登記手続きまで必要となるので・・・

今回は
『会社法定款用語 「発行可能株式総数」って何ですか?』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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