ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
意外とややこしい役員変更登記。
取締役の員数、あなたの会社は法令もしくは定款規定のとおりになっていますか?
しかし、この員数に関する規定を意外と見落としている会社が散見されます。
今回は取締役の員数について書きます。
取締役の員数 あなたの会社は定款と合致していますか?
取締役の員数は会社法ではどのような規定になっているか?
まず、前提として、会社法では株式会社では株主総会と取締役は必須の機関となっています。
その上で、取締役の員数について、会社法326条第1項で次のように規定されています。
(株主総会以外の機関の設置)
第326条
1 株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
会社法第326条1項の規定は、取締役会を置かない株式会社の場合の取締役の員数です。
取締役会設置会社の場合は会社法第331条5項の規定があり、複数名の取締役が必要です。
(取締役の資格等)
1項~4項 略
5 取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。
6 監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役は、三人以上で、その過半数は、社外取締役でなければならない。
以上をまとめると
- 取締役会非設置会社 取締役1名以上
- 取締役会設置会社 取締役3名以上(監査役をいれて最低でも4名)
となります。
また、取締役の員数の上限については会社法では規定がありません。
なお、取締役会設置会社では、監査役も必要なので、最低でも4名必要です。
定款ではどのように取締役の員数を定めるか?
会社法では、取締役の員数の下限は取締役会設置会社の場合はあります。
一方で上限については何も規定がありません。
そこで定款で、会社の実情にあわせて、定款の員数を定めます。
非取締役会設置会社の場合ですと、
取締役の員数は3名以内とする
などとしているところを多く見かけます。
私は、取締役会非設置会社の場合は以下の規定にしていることが多いです。
取締役の員数を1名以上とする。
そして、上限については私は定款では、特に規定していません。
私が取締役の員数の上限を定めないことが多い理由を次に書きます。
取締役の員数 定款の規定次第で問題も?
ます、取締役会非設置会社の場合、上限を設けてしまうと、取締役を増員するときに定款の員数以上になってしまうリスクがあります。
例えば、「取締役の員数を3名以内とする」と定款で規定した場合、取締役4名いると定款違反となり、株主総会決議取り消しの訴えの対象になります。
そのリスクをなくすために私は敢えて取締役の員数については定款で上限を設けないことが多いです。
ただ、会社によっては取締役の員数に上限を設けてほしいというところもあるので、臨機応変に対応しています。
また、取締役会非設置会社で取締役の下限を定めてしまうと、辞任や退任取締役がいる場合、登記することができないリスクがあります。
取締役を2名以上と定款で定めていて、取締役が2名しかいない会社の場合を例にします。
一方の取締役が辞任もしくは任期満了となった場合、後任者選任もしくは定款を変更しない限り、権利義務取締役の地位を有することになり、辞任や任期満了退任の登記ができません。
そうなると登記懈怠の問題も生じてきます。
定款の取締役の員数の規定は意外と侮れないです。
まとめ
何気なく取締役の員数について定款で定めている経営者は多いでしょう。
もし、意外と取締役の員数の規定について落とし穴があることも。
このブログを読んで、もう一度あなたの会社の定款で取締役の員数がどうなっているか確認してください。、
今回は
『商業登記 取締役の役員の員数 定款どおりの員数になっていますか?』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
現在取締役が1名の会社で、取締役を増員する場合の注意点を書きました。今回のブログとあわせて御覧ください。
商業登記 やっぱり役員変更登記はややこしい 取締役をひとりから二人にする場合の問題点
権利義務取締役については、こちらも御覧ください。
参考書籍
改訂増補版 ケース別 株式会社・有限会社の役員変更登記の手続 | ||||
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商業登記ハンドブック第3版 | ||||
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