東京都江戸川区葛西駅前会社設立などの企業法務・相続専門司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
とあるお客様から電話がありました。
「登記申請の会社の謄本、まだ取得できないのでしょうか?」
電話があったのは登記申請した当日。
なので、すぐには登記は終わらず謄本も取得できませんとお話しました。
なぜ登記申請がされてもすぐに登記簿謄本を取得することができないのでしょうか。
上記の疑問にお答えします!
商業登記 法務局に申請してもその日に終わりません!でも例外が・・・
登記申請をしても登記自体はすぐに終わらない理由は?
なぜ、登記を申請してもその日のうちに登記簿謄本を取得できないのでしょうか?
登記申請から完了までの流れを、具体的事例として取締役会非設置会社の取締役の就任の登記を例に紹介します。
長いですがお付き合いください。
まずは申請人もしくは代理人である司法書士が法務局に取締役就任に関する登記申請書と添付書面を提出します。
そして、法務局では、申請書に記載されている会社を確認し、その会社が自分の管轄法務局にある会社なのかをチェックします。
管轄違いの法務局に申請するとその時点で法務局は登記申請を却下しなければなりません。
申請した会社が管轄内にあれば、次に登記申請の中身と添付書面の内容をチェックします。
取締役の就任登記については、以下の点を登記官はチェックします。
・株主総会議事録をチェック
→株主総会で取締役を選任しているかどうか、選任決議が会社法の決議要件に基づいて行われているかどうかを確認。・就任承諾書に住所や実印が押印されているか(就任につき株主総会議事録を援用しているのであれば、議事録に住所と実印が押印してあるか)を確認。
・印鑑証明書と議事録や就任承諾書に押印してある印影が合致しているか、印鑑証明書の有効期限は問題ないか
上記時点で問題があれば、登記官は申請人に対して、どの部分が間違っているか補正を促します。
補正を受けた申請人は不備があった部分を速やかに補充する必要があります。
補正をしないといつまでたっても登記は終わりません。
補正がない場合、もしくは補正が終わった場合、登記申請の内容を登記官が登記簿に反映させます。
最後に登記内容と登記簿の記載内容に間違いないか法務局でチェックして、無事登記が終了します。
なので、登記申請しても、登記手続が申請当日に終了しません。
法務局には他にも商業登記の事件は出ているため、どんなに早くても申請から1週間はかかると思ってください。
さらに繁忙期(例えば会社の決算期の多い6月末や年度始めなど)は商業登記が集中するのでさらに時間がかかります。
なお、登記申請中は、その会社の登記事項証明書は取得できないので注意です。
登記申請が早く終わる登記が・・・
商業登記を申請すると、完了までに1週間位かかります。
しかし、一部の登記申請に関しては、申請後3営業日以内で登記が完了するものがあります。
それは「会社設立登記」です。
2018年3月12日から、会社設立登記に限りのファストトラック化が始まります。
これは、登記申請して時間がかかると設立手続に支障が出るため、会社設立登記に限り早めに終わらせるよう国が方針を出したためです。
会社設立登記には、株式会社・合同会社が該当し、設立登記には、株式交換や新設分割など実質設立の意味合いを持つ登記も含まれます。
会社の設立登記が申請されると、法務局で他の商業登記より優先して処理がされます。
まとめ
今回のまとめ
・商業登記を申請してもすぐには終わらない、完了までに1週間程度かかる
・会社設立登記は、ファストトラック化で他の商業登記よりも早く完了する。だいたい3営業日以内に登記が完了する
今回は
『商業登記 法務局に申請してもその日に終わりません!でも例外が・・・』
に関する内容でした。
商業登記に関する参考書籍はこちらから
商業登記ハンドブック〔第3版〕
松井 信憲 商事法務 2015-05-20
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