東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
先日ブログで「新しい経済パッケージ」
の紹介をしました。
法人設立に際しても、
「法人設立手続オンライン・ワンストップ化」
が促進されるようです。
その中で一つ気になったのが、
法人の印鑑届出の廃止。
これは何を意味するのでしょうか?
商業登記 近い将来印鑑届出がなくなるかも?
現状の商業登記の申請方法は?
現在の商業登記の申請は、登記申請書に
法務局に届けている印鑑を押印して提出
します。
司法書士に商業登記登記手続きを代理
してもらう場合、委任状に法務局に届けて
いる印鑑を押印します。
押印してある印鑑と法務局に届けている
印鑑が一致することで、本当にこの登記を
申請するということが明らかだということ
で申請担保につながります。
会社の実印が果たす役割を考える
ペーパーレス化が進むことは歓迎します。
しかし、未だ日本の企業法務において
契約書等は紙ベースで行われていることが
ほとんど。
契約書に押印するのは実印であることが
多く、契約の真性担保を証明する意味が
あります。
さらにその印鑑が本物かを証明するために
法人の印鑑証明書があります。
印鑑届出義務がなくなると、法人の
印鑑証明書の発行もされなくなることも
予想され、印鑑が押されたところで
この印鑑が本当に実印なのかを明らかに
することができなくなるかもしれません。
登記申請時の印鑑届出義務の廃止は、
実務でも影響が出るということを国は
何も議論していないように思います。
行政手続等の簡素化がかえって・・・
先日の新聞で、ペーパーレス化や
行政手続の簡略化で印章業界が窮地に
立たされているとの新聞記事がありました。
日本の企業法務の昔からの伝統を、
手続の簡素化の理由だけで本当に
いいのでしょうか?
確かに外国から見れば印鑑の押印は
異様な制度かもしれません。
しかし、申請・真実性の担保の観点から
印鑑制度をなくすのはいかがなものかと
思うのです。
日本国内の取引については、印鑑は
まだまだ使える制度。
法人の印鑑届出を廃止するということは
商業登記や会社法も改正する必要があり、
そのことを念頭において議論しているのか
いささか疑問です。
あと、ID、パスワード化で手続を簡素化
させるようですが、それなりにリスクが
あります。
そのあたりも議論なく、ただ単に簡単
だからやりましょうという風潮にあり
危険な気がするのです。
まとめ
法人の法務局の印鑑届出義務の廃止。
何か国民の意見も聞かず、オリンピックが
あるから急遽やっているようにしか
思えません。
早急に進めるのではなく、多方面から
意見を聞いて国は行ってほしいと願う
ばかりです。
今回は
『商業登記 近い将来印鑑届出がなくなる
かも?問題が大アリ・・・』
に関する内容でした。
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