相続登記 遺産分割協議の注意点 遺産分割協議書の作成について江戸川区船堀の司法書士・行政書士が解説

東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

相続登記で遺産分割協議書を作成するのですが、難しいですか?
あと、押印は必要ですか?
押印する印鑑は認印でもいいですか?

このような質問を多く受けます。

遺産分割協議とはそもそも何なのか?

遺産分割協議書はどう書くのか?

今回は相続登記の申請の際に用いることが多い、「遺産分割協議書」について書きます。

遺産分割協議って何?

亡くなった方(被相続人)が不動産を所有している場合、原則は相続開始後相続人全員が相続分割合に応じて共有します。

しかし、不動産は分けることができず共有状態だと権利関係が複雑になり、トラブルになります。

遺言があり、不動産は誰が相続するのか書いてあればいいですが、たいてい遺言書はないので、誰か一人に相続させたい場合が多いです。

法定相続人間の財産の取得に関する話し合いのことを「遺産分割協議」と言います。

話し合いをして、その結果を書面にしたものが「遺産分割協議書」になります。

遺産分割協議書は相続人全員が関与する必要があるのか?

遺産分割協議は相続人全員が関与してはじめて成り立つものです。

一人でも欠けてしまった場合は遺産分割協議自体無効になってしまいます。

私が最近危惧しているのは、離婚が増えてきて、相続関係が複雑になること。

自分の親が亡くなっていざ遺産分割協議をしようと戸籍を辿っていったら、知らない相続人が出てきたというケースがあります。

遺産分割協議は法定相続人全員が参加して行う必要がありますが、法定相続人全員が一同に集まって話し合う必要があるかというとそこまではいりません。

法定相続人の一部が合意して残りの相続人に提示して合意を得る方法でも問題ありません。

ただ、法定相続人以外の第三者が不当に介入した遺産分割協議も法律的に問題を生じることがありますので注意してください。

遺産分割協議の結果、法定相続人間の意見が折り合わず合意に至らない場合は、家庭裁判所が関与することになります。

家庭裁判所における調停(話し合い)に委ねられ、調停でも決まらなければ審判(判決みたいなもの)によって決定されます。

調停や審判の結果については「調停調書」や「審判書」が作成され、強制力を持つことになります。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書の用紙は法律上定めがないので、自由です。

実務ではA4またはA3二つ折りを使用しています。

ただ、A4で何枚かに渡る場合は、その綴り目に契印(割印)をします。

遺産分割協議書に最低限必要な記載は、以下のとおりです。

  • 被相続人の表示(最後の住所または本籍、氏名、死亡年月日)
  • 遺産分割の内容(法定相続人のうち誰が、遺産のうち何を取得するか)
  • 法定相続人全員の住所、氏名、捺印(実印による)

不動産の表示については、全部事項証明書の記載どおりに記載します。

遺産分割協議書に押印する印鑑は?

遺産分割協議書はお互い話し合って決めた結果を証する重要な書類です。

なので、相続人全員、記名押印よりはきちんと自署することが大事です。

登記申請(金融機関での預貯金の扱い)の場合は、本当に話し合いで決めたのかを証明するために実印の押印と鑑証明書の添付が必要です。

印鑑証明書については有効期限の定めがないので、かなり前取得した印鑑証明書を添付することもできます
(当然印鑑証明書に記載されている住所と現在の住所が一致していることが条件です。)

ただし、金融機関での手続きに際しては、印鑑証明書の有効期限を定めているところもありますので、協議書作成時に印鑑証明書を取得してくるのがベストです。

実印を押印するかについては登記実務では若干問題があります。

登記では当該相続登記の申請に係る登記申請人、つまり申請に係る不動産を取得した者の印鑑証明書は不要。

そして、他の共同相続人については、遺産分割協議書に押印した印鑑についての印鑑証明書を添付しなければなりません。

ただ、遺産分割協議書につき相続人全員の印鑑証明書を添付するとの見解もある以上、実務では、遺産分割協議書には相続人全員が署名して実印を押印し、印鑑証明書を用意するのが通例です。

相続人ごとに遺産分割協議書を作成することができるか?

遺産分割協議書は相続人全員が一枚の用紙に署名・押印等をする必要があるのでしょうか?

登記先例では、同一内容の遺産分割協議書を相続人の数だけ作成し、各1通ごとに各相続人が署名押印したものを全部提供した場合は、相続登記は受理されることになっています。

なので、話し合いのために相続人全員が遺産分割協議に納得したのであれば、なかなか一同に会する時間が取れないときは相続人ごとに同一内容の遺産分割協議書を作成して押印すればいいでしょう。

まとめ

相続を原因として不動産の名義を変えたい場合、相続人全員で話し合いによる方法を採用した場合のことを書きました。

以上の点に注意して、遺産分割協議を行い、書類を作成してください。

今回は
『相続登記 遺産分割協議の注意点 遺産分割協議書の作成について江戸川区船堀の司法書士・行政書士が解説』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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