東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
法務省から
「民法(相続関係)等の改正に関する
中間試案(案)」
の資料が公表されました。
民法の相続関係に関し、時代の流れに
沿った改正をしていくための議論が
行われています。
「遺留分制度」のこともそうですが、
もう一つ気になっていることは
「自筆証書遺言」
こちらは法定要件が緩和されるとの
ことで注目しています。
自筆証書遺言とは何?
現行の制度と問題点
自筆証書遺言は、すべて自分で書く必要が
あり、かつ要件を満たさないとすべてが
無効になるという問題点があります。
自筆証書遺言をする際は、
必ず専門家を介入させるべきです。
中間試案(案)ではどのような改正が予定されているか?
まず、不動産の表示や預貯金に関する
部分については、自筆でなくてもよいと
する内容です。
これは、いちいち自筆で不動産の表示を
書くと、大量に不動産を所有している場合、
書き損じがでてしまい、訂正したら
書き直しするなど、面倒なことになります。
不動産の表示等をパソコンで表示できると
かなり遺言者の負担も軽減できるのでは
ないかと思います。
もう一つ、自筆証書遺言の訂正方法です。
現行法だと、訂正方法は、変更箇所に
「署名及び押印」が必要とされていました。
今回の中間試案(案)では、
「署名」のみで足りるという方式に
なる案がでています。
個人的には、これも負担が少なくなると
思います。
ただ、私はもし遺言書を書き間違えて
しまったら、後日の訂正の紛争防止の点で
全て書きなおさせるほうがいい気がします。
自筆証書遺言保管方法について
今までは、自筆証書遺言は自分で
保管しなければならず、場合によっては
紛失してしまい、折角遺言書を残したのに
遺言書記載のとおりにならなかったという
こともありました。
今度の中間試案(案)では、公的機関での
保管(どこになるかはさらに検討する
ようです)を認める制度を導入することが
盛り込まれています。
さらには、自筆証書遺言は検認が必要
でしたが、公的機関で保管されていた
自筆証書遺言については検認を要しない
ことも盛り込まれています。
これは画期的なことだと評価できます。
これができれば、公正証書遺言も含め、
遺言をする方は増加するでしょう。
まとめ
自筆証書遺言は、思い立ったらすぐに
書けるのがメリット。
ただし、法的要件を満たす必要があったり、
保管場所や検認手続の必要性など、
デメリットも多いのも事実。
今回の中間試案(案)では、
自筆証書遺言のあり方が大きく見なお
されそうな気がします。
民法の相続関連についての改正は
当分先になりそうですが、遺言のあり方に
ついてはこれからも注目していく必要が
ありますね。
参考記事
参考書籍
これだけは知っておきたい相続の知識―相続人と相続分・遺産の範囲・遺産分割・遺言・遺留分・寄与分から戸籍の取り方・調べ方、相続登記の手続・相続税まで
吉岡 誠一 日本加除出版 2015-12
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