相続トラブルを未然に防ぐ!配偶者と兄弟姉妹がいる場合の遺言書作成のポイント

こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続・会社設立に」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirijunshoshi)です。

はじめに:ある相談者のストーリー

遺言書なんて、まだ早いと思っていました。でも、兄弟との関係を考えると心配で…。

70歳のDさんが、ある日こんな相談を持ちかけてきました。

Dさんは配偶者がいるものの、子どもはいません。相続人は配偶者と兄弟姉妹になります。

Dさんの兄弟姉妹は5人。その中の1人はすでに亡くなっており、亡くなった兄弟には2人の子どもがいます。

このような状況では、相続関係が非常に複雑になります。

もし自分が亡くなった後、妻が財産をきちんと受け取れるのか心配です。
兄弟やその子どもたちが何か言ってきたら…と思うと不安で仕方ありません。

Dさんのように、配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合、遺言書がなければ財産分割が複雑になり、トラブルが起きやすくなります。

今回は、こうしたケースで遺言書を書くべき理由と具体例をお伝えします。

遺言書が必要な理由:配偶者を守りトラブルを回避する

Dさんのケースでは、遺言書がないと法定相続分に従って財産が分けられます。

  • 配偶者の法定相続分:財産の3/4
  • 兄弟姉妹全体の法定相続分:1/4

この「1/4」は、Dさんの5人の兄弟姉妹や亡くなった兄弟の子どもたちにも分配されます。

例えば、財産が1,000万円の現金と自宅のみだった場合を考えてみましょう。

  1. 配偶者は750万円と自宅の共有権を得ます。
  2. 残りの250万円が兄弟姉妹やその子どもたちに分配されます。

もし、兄弟姉妹の誰かが「現金ではなく自宅の共有部分が欲しい」と主張した場合、配偶者は自宅を完全に所有できなくなる可能性があります。

実際に起きたトラブルの例

Dさんが特に心配していたのは、次のようなトラブルです。

兄弟姉妹が権利を主張する

疎遠だった兄弟姉妹が「自分にも権利がある」と主張すると、分割協議が進みません。

亡くなった兄弟の子どもが協力しない

相続手続きでは、全相続人の合意が必要です。1人でも反対すると、手続きが止まります。

裁判所での調停が必要になる

遺産分割協議がまとまらなければ、調停や審判に進み、時間と費用がかかります。

これらの問題を防ぐためには、遺言書で「誰に何を渡すか」を明確にしておくことが大切です。

遺言書でスムーズに相続を進める方法

Dさんには、公正証書遺言をおすすめしました。以下のような内容を含む遺言書を作成しました。

遺言書の内容例

配偶者への財産分配

「自宅と預貯金のすべてを配偶者に相続させる。」

兄弟姉妹への遺産分配の排除

「兄弟姉妹およびその子どもには一切の財産を分け与えない。」

付言事項で感謝の気持ちを伝える

「これまで私を支えてくれた妻に感謝の気持ちを込めて、すべての財産を託します。兄弟姉妹にも感謝していますが、配偶者が安心して暮らせるよう、どうか理解してください。

遺言書がない場合のリスク

遺言書がないと、Dさんの配偶者は次のようなリスクに直面します。

自宅を失う可能性

兄弟姉妹が共有部分を主張し、売却を余儀なくされることがあります。

精神的なストレス

配偶者が兄弟姉妹と交渉する必要があり、大きな負担になります。

時間と費用の増大

調停や審判では、数年にわたり高額な費用が発生します。

遺言書を書いて「一安心」

Dさんは遺言書を作成した後、次のようにおっしゃいました。

遺言書を書く前は、兄弟やその子どもたちとの関係が気になっていました。
でも、司法書士さんに相談して、自分の気持ちを形にできたことで、妻の将来を安心して任せられるようになりました。

遺言書は、相続人同士の争いを防ぎ、残された家族が安心して生活できる環境を作ります。

Dさんのように、「遺言書を書いておいてよかった」と思える状況を作ることが何よりも大切です。

まとめ:遺言書で安心と信頼を

遺言書は、財産をどう分けるかを決めるだけでなく、自分の気持ちを家族に伝える大切な手段です。

特に、相続人が複雑な場合は、遺言書がなければトラブルが避けられません。

「まだ早い」と思わずに、一度自分の相続関係を見直し、遺言書作成を検討してみてはいかがでしょうか?

当事務所では、遺言書作成のサポートを丁寧に行っています。まずはお気軽にご相談ください。

江戸川区船堀、宇喜田、葛西、東小松川地域にお住まいの方で、相続・会社経営(商業登記を軸とした企業法務)に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

当事務所のウェブサイトをチェック

今回は
『相続トラブルを未然に防ぐ!配偶者と兄弟姉妹がいる場合の遺言書作成のポイント』
に関する内容でした。

電子書籍を発行しました

がんばらない相続手続き 効率よく進める3つの方法」の電子書籍を発売しました!

あわせて読みたい

相続に関するブログを更新中です。こちらもぜひ御覧ください。

参考書籍

Youtube

無料メルマガ登録

ブログとは違った内容で更新 無料メルマガ登録はこちら!
毎週月曜日に発行中
メルマガ登録フォーム

メールアドレス ※必須
名前(姓) ※必須
名前(名) ※必須

関連記事はこちら

この記事を書いた人

アバター画像

司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

広告