東京都江戸川区「6回目でやっと司法書士試験に合格した「相続・商業登記を軸とした中小企業支援業務」の専門家」「登記業務を通じてお客様に寄り添う」 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
自筆証書遺言について、平成27年、28年と最高裁判所で判決が出ています。
平成27年の判例は斜線遺言は有効かに関する内容で、平成28年の判例は印影が花押でいいのかに関する判例です。
判例のような自筆証書遺言の事例は正直多くないと思います。
しかし、昨今のの相続法改正と相まって色々問題が出てきます。
そこで、自筆証書遺言について、書き間違えた場合やもう一度新しい遺言書を作成したい場合、どこに注意すればいいのかを紹介します。
自筆証書遺言を書き間違えた場合、訂正よりも最初から書き直す
自筆証書遺言の訂正については正直複雑です。
訂正の方法は民法で定められています。
民法第968条
- 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
- 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全文又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
- 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
なので、民法の手続きに則って訂正をしないと、その訂正・変更は無効となり。無かったことになります。
なので、自分の意思が正確に反映されていない遺言が、法的に有効になってしまいます。
訂正方法を間違えてしまうと、せっかく書いた遺言が全て無効になる危険があります。
そうであれば、面倒ではありますが、最初から遺言を書き直すべきです。
なので、遺言の内容を下書きしたあとで清書をしたほうがいいでしょう。
あとは、自筆証書遺言を書いたら、司法書士や行政書士などの専門家に見てもらいましょう。
前に書いた自筆証書遺言を無効にしたいのであれば、前の遺言は破って捨てる!
経営者になったら、遺言書を書いたほうがいいと聞いたことがあるでしょう。
万が一自分の身に何かあった場合、遺言があれば一応は会社のトラブルは回避できる可能性があります。
ただ、年数が経つと当然経営方針も変わってくるので、前書いた遺言と違ってくることもあります。
その遺言を変えたいという場合どうすればいいのか?
新たな遺言を書けば(自筆証書遺言でも公正証書遺言でも)、後で書いた遺言と抵触する部分で、前の遺言は撤回され、無効になります。
裏をかえせば、後の遺言でも、前の遺言と抵触していない部分があれば、前の遺言は効力を生じます。
法律でそのように決まっているので、相続人の間で無用な争いに巻き込まれる危険があります。
そこで、新たに遺言を書き直した場合、前の遺言は破り捨ててください。
遺言書を斜線でした場合の遺言の効力について
更に最近問題になったのは、斜線遺言について。
遺言書に左下から右下にかけて赤色のボールペンで斜線が引かれていた場合の遺言の有効性について判決が出ました。
原審では、「原文が判読できる状況で棒線を引いているだけでは、格別の事情のない限り、遺言の破棄には当たらない」としました。
最高裁は、「赤色のボールペンで遺言書の文書全体に斜線を引く行為は、その行為を有する一般的な意味に照らして、その遺言書の全体を不要のものとし、そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当」と判断して、遺言書の効力は無効と判断しました。
上記最高裁の判断は、遺言者の意思を尊重したものといえるでしょう。
とにかく、一度書いた遺言を新たに書き直したければ、前の遺言書は破り捨ててください。
まとめ
自筆証書遺言について、まず書いている途中に記載ミスをしたら、もう一度書き直す。
自筆証書遺言を書き直したいのであれば、最初に書いた遺言は破り捨てる。
あとになって相続人が争いに巻き込まれないためにも、間違ったりしたら残しておかないことが大事です。
今回は
『自筆証書遺言のミスを発見したら?破り捨てて正しく書き直すべき理由を江戸川区の司法書士・行政書士が解説』
に関する内容でした。
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