こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続・会社設立に」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
2024年9月に樺沢紫苑先生主催の「ウェブ心理塾」で会社設立の講義をしてきました。
今回のテーマである「今から準備する!「複業・起業マインド」セミナー」の一つの枠として時間をいただきました。
今回はこの講義の内容で中心としてお話した、「会社設立で大事なこと」をブログ講義形式で書いていきます。
会社設立は誰でも簡単にできるのか?
これから起業して法人化したい人で、一番のハードルは法人化すること。
会社設立登記をして初めて法人化することになります。
私の経験上、法人化のハードルは下がってきていると感じています。
その理由を紹介します。
法人化するサービスが増加している メリットとデメリットを理解する
昨今、会計サービスで会社設立の書類作成サービスを展開しているところが増えています。
必要な事項を入力してしまえば、会社設立に必要な書類ができてしまいます。
それを使えば、誰でも会社設立ができてしまいますが、私の経験上、デメリットもあることを紹介します。
それは起業するあなたの法務的知識は何もなしでできてしまうというリスク
商号とか目的は法律上ルールがあり、それを知らないで会社を作ると後々トラブルが起こります。
例えば商号。
自分が使いたい商号が、すでに他の会社で使われている場合、その商号で登記をしてしまうと、不正競争防止法ですでに使っている会社から商号差し止め請求を受けます。
目的にしても、許認可を必要とする事業を展開するのにその目的を入れないで会社設立すると、事業ができなかったりします。
会社設立サービスではそこまで対応していないので、自己責任でしなければなりません。
なので、司法書士を利用したほうが実は効率がいいのです。
定款認証がかなり楽になった
株式会社設立で、一番面倒な手続きなのが「定款認証」。
ある程度の知識がないと、定款作成は難しいとされてきました。
しかし、国の起業促進の観点から、定款作成も楽になっています。
日本公証人連合会のHPで一定の場合に、定款認証までの手続きを短縮する動きが出ています。
これは公証人会で推奨する雛形定款を用いて、一定の要件を満たす会社が利用することで設立までの時間を短縮することができます。
とはいっても、定款の内容を理解しないままの会社設立は、その後の会社経営で定款違反の経営をしてしまい、コンプライアンスの観点からまずいです。
経営者の方は、ぜひ定款の内容を理解したうえで、利用するようにしてください。
会社設立をしたほうがいい場合とは?
法人化を検討するに当たり、どの段階で行ったほうがいいのかを考える必要があります。
まずは個人事業主や副業での売上がどれだけあるか?
ネットでみると売上で900万円と書いてあったり700万円だったり書いてあります。
まず絶対に法人化したほうがいい場合。
それは、1,000万円以上売上があるときはすぐに法人化したほうがいいです。
消費税課税事業者の一定期間免除の恩賞を受けられるからです。
あとは、相手方の取引先次第ではすぐにでも法人化を検討したほうがいい場合もあります。
よく相手側から「法人化をしてほしい」と言われた場合、速やかに法人化を検討してください。
大手企業と取引をするような場合は、むしろ法人化しないと相手にしてくれないこともあります。
昨今は大手企業もコンプライアンスの観点から、相手側のことも見ています。
なので、売上がどれだけあるかより、「信用」を優先させたいのであれば「法人化」を検討すべきです。
大まかな結論として、個人事業の所得の合計が330万円以上ある、もしくはなる予定で、利益が290万円あれば、法人化を検討する余地はあるでしょう。
注意なのは、節税だけで法人化するのは危険です!
法人にする以上、税金のことを理解し、法人住民税の支払いを行うことなどわかった上で法人化するか判断しましょう。
法人設立ワンストップサービスの利用
現在、国が「法人設立ワンストップサービス」を提供しています。
マイナンバーカードが必須ですが、「法人設立ワンストップサービス」を利用して、設立登記手続きがすべてできます。
定款認証→会社設立→設立後の各種手続き(税務署、労働基準監督署、年金事務所、ハローワーク)も自分のパソコンでできます。
詳細はこちらのHPを御覧ください。
株式会社設立の流れを知っておきましょう!
大まかな株式会社設立の流れは以下のとおりです。
- 印鑑証明書・住民票の取得
- 会社実印、ゴム印作成(依頼者=会社)
- 設立登記に必要な書類作成
- 定款認証
- 資本金の出資の履行(通帳に資本金を入金する)→定款作成後定款認証前に行ってもいい
- 設立登記(会社の誕生日)
- 登記完了、謄本・印鑑証明書・印鑑カードの取得
- 会社銀行口座作成、資本金の振替、各種官公庁への届出(会社)
定款作成と認証
定款作成時に決めておくことは、以下のとおりです。
- 発起人(あなた)の氏名・住所・割当株数・出資額
- 商号・本店所在地
- 公告の方法
- 発行可能株式総数・設立時発行株式総数・出資財産の価額・資本金
- 譲渡承認機関
- 総会招集通知発出期限
- 取締役の任期
- 事業年度開始月
- 目的(15個まで)
日本公証人会連合会や法務省に定款の雛形が掲載されているので参考にしてください。
このあたりは会社法の知識が必要になるため、分からなければ「司法書士」にきいてください。
定款ができたら、公証役場にチェックしてもらいます。
チェックしてもらう場所は、本店所在地を管轄する公証役場となります。
公証人がチェックして問題がなければ、定款認証の手続きを行う。定款を作成するのが面倒であれば「日本公証人会協会」のHPを活用して48時間ルールで定款作成を行ういいです。
必要事項を入れてマイナンバーカード等で電子署名をすれば公証人がチェックをしてくれ、スムーズに定款認証ができてしまいます。
混在48時間ルールが採用されているのは、 東京・福岡・埼玉・神奈川・千葉・大阪・愛知です。
まとめ
会社設立は、サービスが増えていたり、公証役場での定款雛形の簡単作成ツールを利用すれば簡単にできてしまいます。
簡単にできてしまうからこそ、法務面で落とし穴もあったりします。
費用がかかっても司法書士と一緒に取り組んでいくことが「いい会社」を作る上では大事です。
今回は「ウェブ心理塾」でお話した内容を一部抜粋して簡単に会社設立できることを書きました。
ウェブ心理塾の詳細はこちら
江戸川区船堀、宇喜田、葛西、東小松川地域にお住まいの方で、相続・会社経営(商業登記を軸とした企業法務)に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所までご相談ください。
当事務所のウェブサイトをチェック
今回は
『ウェブ心理塾でこれから起業する個人事業主の方向けに会社設立のお話をしてきました』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
最新のブログはこちら
参考書籍
電子書籍を出しました